研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的はライセンス取得前に行われる卒前のチーム医療教育の効果検証を行うものである。我々は本学のチーム医療教育が履修した学生のチーム医療教育に対する態度を向上させることを報告してきた。在学中に向上したチーム医療教育に対する態度が、臨床を経験する中でどのように維持されるかを、本学のチーム医療教育を履修した2008-2010年度の第3年次在学生ならびに在学中に本学でのチーム医療教育をうけた2000年から2008年に卒業した本学の卒業生(新卒から卒後9年目にあたる)に対して修正版チーム医療に対する態度尺度を用いて検討を行った。在学生501名(回答率98.2%)、卒業生213名(回答率20.4%)からの回答を得た。在学生・卒業生とも専攻別の回答の割合は看護学専攻:臨床検査技術専攻:理学療法専攻:作業療法専攻で概ね4:2:1:1であり、各専攻の定員比率を反映していた。全般的なチーム医療に対する態度尺度は、卒業生は在学生に比べて有意に低値であった。チームの効果、チームの医療の質、チームの効率の3つのサブスケールでの検討では、チームの効果、チーム医療の質では在学生・卒業生の間に有意差は認められなかったが、チームの効率では卒業生は在学生に対して有意に低値であることが示された。このことは卒業生が現実の臨床現場を経験することにより、チーム医療に対する態度特にチームの効率に対する態度に対して負の影響を及ぼす可能性を示した。新卒生は臨床での経験不足や、新卒生のもつ知識を臨床現場の問題に適応することが困難であることが報告されており、卒前のチーム医療教育のみでは充分でなく、卒後のチーム医療教育を切れ間なく行なう必要性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
ライセンス取得前に行われる卒前のチーム医療教育の効果検証では、本学のチーム医療教育を履修した2008-2010年度の第3年次在学生ならびに在学中に本学でのチーム医療教育をうけた2000年から2008年に卒業した本学の卒業生(新卒から卒後9年目にあたる)に対して修正版チーム医療に対する態度尺度を用いて検討を行い報告した。
ライセンス取得前に行われる卒前のチーム医療教育が就職場所に対して影響をあたえるかを検討する。本学のチームワーク医療教育では、臨地実習が2日間準備されているが、これは地域保健、病院医療、小児医療、在宅・高齢者ケア、リハビリテーション、精神障害医療の6分野から1分野を選択して行うシステムになっている。学生が臨地実習で選んだ分野と実際に就職した分野に関連があるかどうかを検討する。
前年度は人件費(データ入力、資料整理)を計上した。調査が順調に進行したために、データ入力等は研究費配分前に終了した。このため前年度は研究補助の人員の雇い入れは行わなかった。本年度は引き続きアンケート調査を計画しているので、アンケート用紙の作成、アンケート実施に伴う人的サポートならびにアンケート結果の入力とのため研究補助者の雇い入れを計画している。本年度はさらにアンケート調査研究のための費用ならびに研究の打ち合わせならびに研究報告のための旅費をそれぞれ計上した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
J Interprof Care.
巻: 27 ページ: 261-268
10.3109/13561820.2012.751901