研究課題/領域番号 |
24590602
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北村 聖 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10186265)
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研究分担者 |
錦織 宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10463837)
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キーワード | 医学教育 / 専門職連携教育 / 住民参加型連携教育 / ファシリテーター養成プログラム / ファシリテーター評価表 |
研究概要 |
本研究の目的は転移性の高い住民参加型専門職連携教育(Trans-Professional Education;以下TPE)のモデルカリキュラムを開発することである。特に本邦は世界にも経験のない高齢社会を迎え、増えつつある複雑で多様な問題に対応するべく連携をすすめていく必要がある。そのためにも専門職連携教育(Inter-professional Education;以下IPE)をすすめ、さらに医療の主役である住民が医療者と協働して問題に取り組む機会を作る必要がある。 そこで本研究では、以下の3つのプロジェクトに沿ってTPEのカリキュラムの開発を計画し、この項目に沿って今年度の研究内容を報告する。 1)カリキュラム調査・フィールドワーク;初年度文献レビューを行ったIPEカリキュラムにおけるコンピテンシー(学習目標)について、平成25年10月26日に行われた日本保健医療福祉連携教育学会学術大会にて21名の専門職より専門職連携教育・実践におけるコンピテンシーの探索に関するバズセッションを行った。また広くカリキュラムの概要を調査するため、全国調査も行った。 2)TPEモデルカリキュラムの開発;データを整理・分析を行った。 3)TPE施設ファシリテーター養成プログラム開発・ファシリテーター評価表の開発:平成24年度に実施したワークショップに続き、TPE施設ファシリテーター養成プログラムとしてオンラインによる専門職連携ファシリテータープログラムを構築した。平成25年10月26日に行われた日本保健医療福祉連携教育学会学術大会にて、本内容について口演発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の結果を踏まえ、IPEのコンピテンシー(学習目標)を明らかにし、全国調査を実施し、施設ファシリテーター養成プログラムの開発・評価を予定していたが、概ね順調に進展している。以下に3つのプロジェクトの現在までの達成度を報告する。 1)カリキュラム調査・フィールドワーク;IPEカリキュラムにおけるコンピテンシー(学習目標)について質的分析を実施し、コンピテンシーのフレームワークを作成した。また保健医療福祉の13職種を養成する大学・専門学校3,431校を対象として、IPEカリキュラムの実態を明らかにするためのアンケートによる全国調査を実施した。 2)TPEモデルカリキュラムの開発;現在データの整理・分析中であるが、来年度には論文投稿の見込みがある。 3)TPE施設ファシリテーター養成プログラム開発・ファシリテーター評価表の開発;オンラインのFacebookとSkypeを使ったブレンド学習を援用した専門職連携ファシリテーターのサポートプログラムを構築した。教育学的理論を援用すると①意図的に、参加者の学びの軌跡(トラジェクトリー)を組織外にむけることで、所属組織や自らの活動を外から見る視点を獲得できる可能性があること②参加者の学びの実践共同体(オンライン)への十全参加と、この共同体での振り返り・概念化が参加者自身の実践共同体(現実)での具体的実践を促進しており、まさに経験学習サイクルを回すことで、専門職連携という抽象的な概念を具体化させ、実践への動機付けに結びつくことが明らかになった。ファシリテーター評価表は現在データの整理・分析中であるが、来年度には論文投稿の見込みがある。
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今後の研究の推進方策 |
1)カリキュラム調査・フィールドワーク; 明らかにしたコンピテンシーのフレームワークをもとに、コンピテンシー基盤型教育に基づき学習内容、学習方法などの枠組みを研究者らで構築する。それをもとに平成26年9月20日・21日に行われる日本保健医療福祉連携教育学会学術大会にて複数の実践者・教育者から意見をもらう予定である。 2)TPEモデルカリキュラムの開発;データの整理・分析を終え、論文を投稿する。 3)TPE施設ファシリテーター養成プログラム開発・ファシリテーター評価表の開発;第2期のTPE施設ファシリテーター養成プログラムを開始し、実施・評価を行い、転用可能なモデルを開発する。またファシリテーター評価表に関しては、データの整理・分析を終え、論文を投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
来年度予定していた翻訳業務を今年度実施したために、来年度の予算の一部を今年度前倒して請求したが、一部翻訳が間に合わず、来年度に延期したため一部余剰が発生した。 予定していた翻訳業務の委託を検討している。
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