研究課題/領域番号 |
24590603
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小出 大介 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50313143)
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キーワード | e-CTD / RPS / ICH / HL7 / CDISC |
研究概要 |
新薬申請に必要な共通技術文書であるCTD(Common Technical Document)の電子版であるe-CTDはICH標準として承認され、日本でも2005年に導入されている。しかし現在e-CTDの見直しとしてRegulated Product Submission (RPS)がICHのみならず、国際的な標準化団体であるHealth Level Seven(HL7)およびClinical Data Interchange Standards Consortium (CDISC)が協力して検討が進められている。 そこで本研究ではこれらの標準モデルを、新薬申請の標準様式の次期e-CTDとして現在開発が進みつつあるRPSに適用した際の社会的影響について、現状のe-CTDに盛り込まれている技術的機能要件との対比にて検討し、開発者側であるHL7及びCDISC側へフィードバックすることにより、よりよい標準とすることを目的としている。 平成24年度では、RPSの第2版とStep2 for testing Implementation Guide、Draft Standard for Trial Useが発表された。またHL7においてライセンス・スタンダード費用について無償との発表がされた。平成25年度では前年のtestingを受けて、RPSの第3版が完成し、HL7にて標準化に向けた投票が実施されたが、多くのコメントが寄せられ、現在その対応を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年9月にRPSの第3版が出され、HL7における投票に参加した。その際に多くのコメントが寄せられて、その対応に時間を要することから、ツールの提供を含めHL7やICH側の対応はやや遅れているが、当方の本研究に関しては概ね順調に進んでいる。なお国内におけるStep2 for testing Implemantation Guideに対する意見徴集は終了して、現在その結果の公表を待っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
HL7におけるRPS第3版の標準仕様案およびICHのeCTDの検討グループであるM8グループ、さらにISOやCDISCの動向を調査しつつ、これらRPSの標準仕様案とこれまでのe-CTD Version 3との対比を実施してまとめる。また国内の関係者(当局や製薬企業の担当者/専門家)と新たな技術的要件等のヒアリングを実施する。既にRPSのProject PlanにおいてCDISCのBRIDGとハーモナイズして開発することになっており、このBRIDGが平成26年度中にISOにて国際標準になることが見込まれ、その影響が注目される。特にPMDAが平成28年度にはCDISCを国内に導入することを表明しており、新薬申請における電子的医療情報標準に果たすCDISCの役割が大きくなることが予想される。従ってこれら標準化団体のパブリックコメントの期間に意見出しを行い、そのフィードバックを行う。一連の結果については、申請者自身が運営するホームページや学会において公表し、広く社会一般への成果を還元する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度が最終年度であるため、特に成果をまとめて発表すべく研究費を残しておかないといけないという理由がある。また本研究者の作業としては予定通りに実施されているが、RPSを開発しているHL7側が第3版に対するコメントが多く寄せられたことからその処理に遅れが生じており、RPSに関するツールの開発もまだされていないので、当初平成25年度に計画されていたこれらの分については次年度で対応していく必要もあると考えられるからである。 RPSとハーモナイズすることになっているCDISCのBRIDGが平成26年度中にISOにて国際標準となることが見込まれ、その影響について調査する。そこでHL7など国際会議への参加のため、海外旅費が多くを占めることとなる。またHL7などでRPSに関するツールが開発されれば、それらツールを動かすために、コンピュータシステム上のアップグレードを要することも想定している。また国内関係者へのヒアリングに関しては会議費や謝金が発生することもあると考えている。
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