研究課題/領域番号 |
24590604
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
伏見 清秀 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50270913)
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キーワード | 医療評価 / 医療データ分析 / ビッグデータ / 医療サービス研究 |
研究概要 |
まず、大規模医療業務データベースから医療の質を測定するための各種の臨床指標を算出する手法を検討した。対象患者は、様式1診療情報データより診断名、副傷病名、主たる手術等から設定し、対象除外条件を様式1データおよびEFファイルの個別診療行為より 設定した。ケースミックス補正に関しては、副傷病情報を中心に重症度に関連する人工呼吸、中心静脈栄養、各種手術手技等を用いて手法を検討した。特に医療ビッグデータの分析手法について、急速に進歩している並列分析等の手法に関して諸外国の既存研究を調査し、効率的な計算手法を開発した。 プロセス指標については、主にEFファイル等の診療行為明細データを用いて、薬剤の投与時期、投与期間、実施された診療行為の実施時期、実施期間等から既存の診療ガイドライン等を参考に作成した。術後の抗菌薬の選択と投与期間、薬剤性不整脈、向精神薬治療の適正性、感染症における細菌培養同定検査等の評価の有効性が示された。アウトカム指標については、様式1傷病名情報とEFファイル診療行為情報に基づく合併症の検出、院内死亡、退院後再入院等を検討した。さらに術後30日、90日等の死亡率に関しては、外来患者EFファイルデータを用いて、再入院と外来受診を生存シグナルとする生 存曲線解析を行った。人工関節置換術のアウトカム評価では、surgical volumeと合併症、再手術等の間に有意に負の相関関係を認めた。 ついで、これらの指標の相互関係と外的医療機関情報等との関連性を解析し、指標の妥当性を検証した。同一病態に関するプロセス指標とアウトカム指標の関連を分析することにより、アウトカムに影響を与えるプロセスを抽出し、有用性実用性の高いプロセス指標 の作成を試みた。また、病院規模、職員数、手術手技集積状況等の外的条件と各種指標の関連性の分析から、医療の質に影響を与える条件を明かとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、既存研究を発展させて、DPCデータ等の医療業務データを用いた各指標の妥当性の検証を行い、医療評価研究への応用手法を明らかとするとともに、我が国特有の疾病構造を補正した指標を開発することを目的としたが、今年度までの研究では、大規模医療業務データの効果的な分析手法を確立し、具体的な医療評価手法を示すとともに、指標の妥当性の検証、我が国特有の疾病構造を考慮した指標の開発を行った点で、おおむね順調に進展していると考えられる。今後、医療ビッグデータ分析に適した分析ツールの開発、評価手法の国際比較などを進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大規模医療業務データを用いた医療評価手法を発展させるために、国内、諸外国の多方面から医療評価の方向性と情報技術の進展に関する情報を収集し、評価指標の開発に応用するとともに、急速に発展する大規模データ分析技術を取り入れ、効果的な分析検討とそ の検証を進める。
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