研究実績の概要 |
方法:運転を継続しているパーキンソン病(PD)患者10名(年齢 63.6歳,男6,女4,罹患年数 5.5年)と健常対照者4名(年齢 58.8歳,男3,女1)を対象とした.臨床指標として,運動機能:Hoehn-Yahr重症度,UPDRS, MMSE,Benton視覚記銘試験,TMT-A & TMT-Bを評価した.運転能力を運転免許センターでのCRT運転適性検査機器,シミレーション運転装置で評価した.また,全経過を被験者の同意のもとビデオ撮影し,実際の運転場面と見なして,Agnelli Aの規準で評価・点数化した.本学医学部附属病院研究倫理審査委員会での承認を得て実施した. 結果:高次脳機能は,MMSE, FAB, TMT-B , TMT-A/TMT-Bに両群間の差を認めなかった.Benton誤謬数のみPDと健常者で差を認めた.PDと対照者の間にBenton視覚記銘検査の誤謬数,踏み替え検査停止時間,全領域で差がみられた.注意の集中/認知側方警戒中心部分・周辺部分・全領域で年齢との負の相関がみられた. TMT-Bは,シミュレーション項目中の弛緩反応,注意の集中/認知側方警戒中心部分・周辺部分・全領域で負の 相関がみられた.Benton誤謬数は,シミュレーション項目中の瞬時視検査,弛緩反応,注意の集中/認知側方警戒中心部分・周辺部分・全領域,総合判定で負の相関がみられた.Benton誤謬数とTMT-Bの間には正の相関を認めた.シミュレーション運転評価表得点:運転評価表得点はTMT-Bと負の一次相関を認めた.一方,TMT-B,TMT-B-TMT-A,TMT-B/TMT-A,弛緩反応,注意の集中/認知側方警戒中心部分,周辺部分,全領域は年齢との相関がみられた.考察:本結果はPDの視覚注意感度の低下に関連する可能性がある.また,半構成的な評価表での得点化の可能性についても言及した.
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