研究課題/領域番号 |
24590607
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
和田 泰三 京都大学, 東南アジア研究所, 特任准教授 (90378646)
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研究分担者 |
奥宮 清人 京都大学, 東南アジア研究所, 連携准教授 (20253346)
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70190494)
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キーワード | 事前指示書 / リビング・ウイル / 地域在住高齢者 / 事前ケア計画 / 経管栄養 / 総合機能評価 / Advance Care Planning |
研究概要 |
【目的】有料老人ホーム在住高齢者を対象として、終末期に向けての要望書(事前指示書)の作成状況と生活機能との関連、およびその要望内容を総合機能評価法のなかで明らかにすることを目的とした。 【方法】対象は、2013年12月に自記式問診票に回答した京都市の有料老人ホーム在住の65才以上高齢者のうち、総合機能評価問診のなかで事前指示書作成状況に関する質問に回答した144名(平均年齢83.7±6.6才 男42 女102)とした。事前指示書作成の有無と、日常生活機能動作、老研式活動能力指標、GDS-15 で評価した抑うつスコア、Visual Analogue Scaleで評価した主観的健康度、転倒スコア5項目との関連を比較した。また、事前指示書作成済みの138名については、総合機能評価問診回答の有無にかかわらず、同意を得て作成時の年齢とその内容を検討した。 【結果】事前指示書の作成者は61.1%(88名)であった。事前指示書作成者は非作成者とくらべて有意に年齢(P<0.05)と 転倒スコア(P<0.01)が高く、主観的健康感が低かった。(P<0.01)一方で日常生活機能動作、抑うつスコア、老研式活動能力指標の下位3項目と総合スコアについては有意差をみとめなかった。事前指示書をすでに作成している138名の作成時点の平均年齢は83.5±8.0才(男35,女103)であった。入居施設内で最後を迎えたいと記載したものは66%、心肺停止時に心臓マッサージや呼吸器使用による蘇生措置を望まないものは82%におよび、99%のものが生命維持よりも苦痛除去を優先してほしいと回答した。経口摂取が困難になった場合の栄養方法については、末梢静脈からの点滴を望むものが21%、経鼻経管栄養4%、胃瘻4%、中心静脈栄養が1%であった。一方で、経口摂取の出来る範囲のみと回答したものが67%に及んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高知県土佐町と有料老人ホーム「ライフ・イン京都」において、総合機能評価検診ならびに質問紙法による事前指示書作成に関する検討を当初計画どおり実施できた。 また、両地域において、事前指示書作成者は徐々に増加していることがあきらかとなったほか、有料老人ホーム「ライフ・イン京都」においては、同意を得て「終末期にむけての要望書」の記載内容をあきらかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き高齢者総合機能評価検診と問診表による地域住民、入居者全体の健康度を測定する。また、英国・レスター大学、ノッティンガム大学のAdvance Care Planningガイドライン作成グループと情報交換し、事前指示や終末期ケアに関する文化的背景の差異を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
有料老人ホームにおける資料整理について、施設職員の献身的な協力を得ることができ、謝金支出が予定より少額となったため。 高知県、英国への旅費、日本老年医学会総会参加のための旅費、データ管理のための物品・ソフト購入費、総合機能評価検診や事前指示書広報活動にともなった謝金、質問紙のレイアウト作成費用、成果出版の為の英文校閲費用として使用予定である。
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