研究課題
神戸大学附属病院関連施設にご協力いただき、腸内細菌科のサルモネラ属200株、大腸菌74株、カルバペネム系薬剤に耐性と疑われた腸内細菌科の株35株を収集した。これらの薬剤感受性試験を行い、メタロβラクタマーゼ(MBL)や基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌が疑われる場合、それぞれの確認テストを行った。これらのDNAを抽出して、PCRを行い、MBL産生菌特異的な遺伝子群、ESBL産生菌特異的な遺伝子群を検出して、シークエンス解析を行った。さらには、病原遺伝子、キノロン耐性遺伝子なども確認した。さらには疫学的な調査方法として、MLST、PFGE、繰り返し配列を基にしたrep-PCR法、プラスミドレプリコン解析を行った。結果は以下の通りである。①サルモネラ属では200株中2株がESBL産生株であり、PFGEによるパターン解析をしたところ、同一クローンから派生している可能性が示唆された。このサルモネラ属におけるESBL産生菌の報告例はあまりなく、貴重な報告である。②大腸菌74株中72株がESBL産生株であり、キノロン耐性も多く認められた。ESBL産生株はすべてCTX-M型が検出された。さらに、世界でも流行が懸念されているO25:H4、MLSTによるシークエンスタイプ131であるCTX-M-15型も5株検出され、rep-PCRの結果同一パターンに分類されることがわかった。CTX-M-15型には病原因子のうち7種類が検出され、プラスミドレプリコン解析ではF型が多く認められた(65株、90.3%)。③カルバペネム系薬剤に耐性と疑われる腸内細菌科の株35株のうち、17株(48.6%)でMBL産生性が確認され、内訳は肺炎桿菌10株、大腸菌7株であった。遺伝子解析の結果、MBLの型別として14株でIMP6型が確認された。IMP6型MBLは主にカルバペネム系薬剤であるメロペネムには耐性を示すが、イミペネムには感受性を示す株であり、臨床で検出が難しいため今後もその動向に注意すべきである。
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