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2012 年度 実施状況報告書

被災地等における街づくりと連動した地域包括ケアの確立方策

研究課題

研究課題/領域番号 24590611
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岡山大学

研究代表者

浜田 淳  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70334886)

研究分担者 齋藤 信也  岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
片岡 仁美  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20420490)
岩瀬 敏秀  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80614924)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード地域包括ケア / 被災地と中山間地域 / 人口減と超高齢化 / 地域づくり / 障害をもつ人 / 医療と介護の連携
研究概要

この研究の目的は、被災地や中山間地域等において、医療、介護等のサービスを適切に提供する「地域包括ケア」の体制を、被災地等の自治体と連携しながら構築して行くための方策を明らかにすることである。
平成24年度においては、第一に、東日本大震災の被災地である岩手県について「岩手県復興に向けた医療分野専門家会議」や「県立病院経営委員会」に委員として参加し医療、介護の復興状況をフォローしつつ、三陸沿岸の宮古市、山田町、釜石市、大槌町等の医療、介護の関係者から実状をヒアリングさせていただいた。同県では3か所の県立病院が全壊するなど医療、介護分野も大きな被害を受けたが、全県下~二次医療圏~各市町村という3層での意見交換によって関係者の合意を得ながら、医療、介護分野のサービス提供と包括ケアの実現をめざす復興が推進されてきている。
第二に、岩手県陸前高田市、一関市(藤沢病院)、奥州市(まごころ病院)、長野県佐久市(佐久総合病院)、埼玉県和光市、岡山県旧哲西町等の、医療、介護の連携等に特色をもつ先進事例を視察し、分析を行った。
第三に、岡山県新見市において、新見市役所と連携し、同市における医療、介護のビジョンの作成に着手した。同市は医療機関や医師数が非常に少ない一方で人口減と超高齢化が進行する中山間地域であるが、国民健康保険、介護保険の財政状況や保険料負担に配慮しながら、医師・看護師不足を克服しつつ必要なサービスを確保することが課題となっている。
第四に、障害者を支援するための地域ケアを検討するため、障害者、家族と交流し、「障害をもつ人と地域包括ケア」という論文を発表した。この論文では、てんかんのある人(国内に約100万人)を手がかりとして、その生活実態と意識について分析し、診療ネットワークの構築と、当事者と家族が身近な地域で適切なサービスが受けられる地域包括ケアの体制整備が必要であることを述べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

この研究の特色は、被災地をはじめとする各地域の自治体や医療、介護の関係者と連携、協働しながら地域実態に見合った地域包括ケアの体制の構築をめざすものである。これまでのところ、被災地においては岩手県庁や三陸沿岸の保健所、市町村に協力をいただきながら医療、介護関係者と意見交換を行い、他地域においても市役所等の自治体や地域ケアの現場の指導的な立場にある方とのネットワーク形成を行ってきているので、研究は概ね順調に進展してきている。
また、被災地、中山間地域等を通じて、①医療、介護、予防、生活支援(見守り、買い物などの交通の確保、認知症者の権利擁護など)、住まいといった各サービスを身近な地域でどう確保するか、②近隣の助け合いなどを含め、自助、互助、共助、公助をどのように組み合わせることが適切か、③全体のまちづくりの中で各サービスをどのように位置づけていくか、④市町村国保や介護保険の財政をどう健全化するか、特に市民の保険料の引上げをどう抑制するか、⑤医療や介護が地域経済や雇用に与える効果をどう評価するか、といった問題は共通的な、重要で切実な課題となってきている。したがって、自治体や地域においても、われわれの研究は好意的に受け止められていることもあり、研究は概ね順調に推移している。

今後の研究の推進方策

第一に、被災地の医療、介護の復興については、引き続き岩手県の委員会への参加等を通じて状況をフォローし、地方自治体と協働しながら、三陸沿岸地域などの医療、介護の体制充実への取り組みの動きにかかわりつつ支援し研究していく。
第二に、これまで長野県、埼玉県、岩手県などの先進地域の取りくみ状況を視察し分析してきたが、先進モデルを他の地域に波及させていくためにはどのような取り組みが必要か、に焦点を合わせて、引き続き研究する。
第三に、岡山県新見市の医療、介護ビジョンの策定については、同市における医療、介護の実情と問題点、国民健康保険や介護保険の財政状況と保険料の状況、医療や介護が雇用や地域経済に与える状況などを総合的に把握し、ビジョン策定につなげていく。
第四に、障害のある人とその家族を支援するための、「顔の見えるネットワーク」としての地域包括ケアの構築をめざして、引き続き、障害者の生活実態や対応する制度の問題点、診療ネットワークの形成方策等を研究していく。

次年度の研究費の使用計画

研究打ち合わせ、現地ヒアリング、資料収集等のための国内旅費、研究資料の収集、資料の解析など研究補助のための人件費、文献費、会議費、通信費などに支出する予定である。なお、平成24年度の研究内容の一部を25年度に行うため、一部の額を繰り越している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 障害をもつ人と地域包括ケア2013

    • 著者名/発表者名
      浜田淳
    • 雑誌名

      小児科

      巻: 第54巻第2号 ページ: 235-240

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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