研究課題/領域番号 |
24590619
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嶋澤 るみ子 九州大学, 大学病院, 特任准教授 (00411083)
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研究分担者 |
池田 正行 香川大学, 医学部, 研究員 (10242215)
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キーワード | レギュラトリーサイエンス / 適応外使用 / コンパニオン診断 / 公知申請 / コンペンディウム |
研究概要 |
本研究は、医薬品適応外使用のアクセス改善に必須であるエビデンス評価システムを日本で構築することを目的として、①日本の適応外使用要望のエビデンス・推奨度の検証、②日本の公知承認審査と米国コンペンディウムにおけるエビデンスの評価から、承認・推奨の意志決定までの評価・判断基準の解析、を行うことにしている。 25年度は当初「適応外薬の要望」による2009年公募分285要望を対象に、DRUGDEXにおける評価(エビデンスに関する評価、推奨度など)、要望の基本属性(ATC分類、成人・小児の別など)、米国での承認状況、検討会における検討結果、日本で承認された場合のエビデンス、について調査、それぞれの関係を解析する予定であったが、多くの要望に対して日本での承認審査が進行している段階であったため、日本の承認状況が落ち着くまで、解析を延期した。 代わりに25年度のエビデンスと承認等の意志決定までの判断基準解析を行う対象として、医薬品のコンパニオン診断に関するエビデンスと承認等に関する解析を行った。 米国FDAのTable of Pharmacogenomic Biomarkers in Drug Labels掲載されているコンパニオン診断バイオマーカー(以下BM)に関する記載が、日米英3カ国の承認医薬品添付文書でそれぞれどの程度なされているのか、BMに関するエビデンスとの関係を解析した。 添付文書にBMによる診断の記載を取り入れる傾向は、米国が最も強く、英国、日本の順に続いていた。3ヶ国間の添付文書でのBM情報記載の差は、BMの種類、医薬品の対象疾患により違いがあるが、これらの差は、BM利用を支持するエビデンスの強さや、添付文書に記載することの実用性によって決まっていると推測できた。 さらに解析手段としてテキストマイニングが利用できることを、添付文書安全性情報の解析により示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初25年度に予定していた「適応外薬の要望」のうち2009年公募分285要望を利用したDRUGDEXにおける評価、要望の基本属性、米国での承認状況、検討会における検討結果、日本で承認された場合はそのエビデンス、それぞれの関係の解析は延期することとなったが、代わりに医薬品添付文書におけるコンパニオン診断の記載状況と、医薬品でのコンパニオン診断利用を支持するエビデンスとの関係を示唆する研究結果が得られた。 さらに、添付文書安全性情報の解析により、テキストマイニングの解析手段としての利用に目処が立ち、来年度以降の解析方法の選択肢を増やすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初25年度に予定していた「適応外薬の要望」による2009年公募分285要望を対象に、DRUGDEXにおける評価(エビデンスに関する評価、推奨度など)、要望の基本属性(ATC分類、成人・小児の別など)、米国での承認状況、検討会における検討結果、日本で承認された要望については承認審査でのエビデンス、についてそれぞれの関係の解析を行う。また25年度に開始した医薬品でのコンパニオン診断利用のエビデンスと、その医薬品承認・添付文書記載に関する研究も継続する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
額の最も大きいデータベース使用料に関して、1年目に関しては試用期間等があり、2年目に関しても契約時の為替レートの影響で、使用料金が当初計画より押さえられていることが主な理由である。 申請書での予定通り、DRUGDEX(オンライン)の契約料、論文の英文校正費、雑誌掲載料などとして使用する他、25年度までで、解析手段としてのテキストマイニングの利用に目処が立ってきたので、本研究の解析方法としてテキストマイニングを利用するためのマイニングエンジンのチューニング等の費用として使用し、さらに研究を進める予定である。
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