研究実績の概要 |
本研究は、医薬品適応外使用のアクセス改善に必須であるエビデンス評価システムを日本で構築することを目的として、①日本の適応外使用要望のエビデンス・推奨度の検証、②日本の公知承認審査と米国コンペンディウムにおけるエビデンスの選択から、承認・推奨の意志決定までの評価・判断基準の解析、を行うことにしている。 27年度は、初年度から引き続き、特定のカテゴリーの医薬品におけるエビデンスと承認等のアクセス確保に関する研究として、医薬品のコンパニオン診断に関するエビデンスと評価に関する研究を継続し、コンパニオン体外診断薬(CDx)が医薬品の有効性に関連する場合と安全性に関する場合のそれぞれにおいて、CDxとCDxを必要とする医薬品の承認におけるエビデンス評価について研究した。一方、新たにCBRN(Chemical, Biological, Radiological, Nuclear)対策医薬品のエビデンスと承認に関する研究を行った。CBRN対策医薬品は、その性質からヒト対象の前向き介入臨床試験により有効性を確認することができないため、各国が様々な制度を導入し、エビデンスの評価とアクセス確保(承認、計画的な備蓄)を行っている。米国が世界で最も対策が進んでいる国であるが、日本も2001年以降、CBRN対策医薬品に関するエビデンス評価と承認が進み、現時点で日本と米国の承認されているCBRN対策医薬品の種類とその承認の元になったエビデンスの多くは同じであった。一部、米国のみで承認されているCBRN対策医薬品は米国独自のAnimal Ruleにより、エビデンス評価、承認されていた。 研究期間全体の成果として,適応外使用医薬品のエビデンス評価では、通常の承認審査で要求される前向きの介入試験による評価だけでなく、使用実態を踏まえた観察・疫学研究による成果が大きく貢献していることが明らかとなった。
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