研究課題/領域番号 |
24590624
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
兼松 孝好 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20381824)
|
研究分担者 |
大原 弘隆 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80285212)
|
キーワード | 地域医療教育 / 教育手法の開発 / 多学年参加型セミナー / ITネットワークによる遠隔教育 |
研究概要 |
本研究は,地域医療教育に関して新たな教育プログラムを提案できることを主な目的として,多学年参加型の医学教育的ワークショップ・セミナーを定期開催して,その教育効果と有用性を測定するとともに,ITネットワーク技術を活用した多施設間の遠隔教育システ ムを導入し,上記と組み合わせることで,さらに有効性が高まるかどうかを測定するものである.初年度に本研究で用いる地域医療教育に関する教育効果を測定するポートフォリオ形式の評価法を作成した.しかし,平成25年度に本法による教育効果測定を行ったところ,下記の点で問題が見つかった. 本研究では多学年参加型の医学教育的ワークショップ・セミナーを開催することが主な特徴となっており,低学年が患者側の模擬患者を演じながら,患者側の視点で医師役の高学年へのfeedbackを行うものである.高学年学生にとっては,患者診療の実技OSCEを行うことで,患者側からの意見を得られる利点が大きい.しかし,平成25年度のセミナーのプレ開催では,低学年学生が評価測定に慣れていない為に,高学年学生へのfeedbackに足りるような客観的評価が困難であることが判明した.これを解消するため,評価者を複数にするなどの工夫を行ったが,実技試験の際に行うリアルタイム評価のみでは評価が一定せず,評価者そのものに対する質的評価も難しいことが分かった.よって,OSCEを複数のカメラで動画記録し,多視点カメラ映像による録画を行うことにした.これにより,OSCE内容を,複数の評価者(低学年学生,指導医師,指導コメディカルスタッフなど)で同一条件で評価が可能となった. 平成26年度中に上記の「4視点からの同時録画による実技試験システムを利用した多学年参加型教育ワークショップ・セミナーを本開催し,教育効果測定と評価方法の妥当性の検討を行う予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,平成24年度中に各協力市中病院にて多学年参加型教育ワークショップ・セミナーを開催する予定であったが,教育効果測定用ツールであるポートフォリオ形式の評価冊子を作成するのに時間を要した.平成25年度に教育ワークショップ・セミナーをプレ開催したところ,評価者である低学年学生より高学年学生に対する実技OSCE評価について,評価者間のばらつきが大きく,客観的な評価が困難であることが判明した.本研究では多学年学生による360度評価を目標としているが,一方で経験を有した同一の評価者による評価のみではないため評価にばらつきが生じることが問題であった.これを解消するため,実技OSCEについては,多視点動画カメラによる動画記録を行い,録画記録を元に複数の評価者により評価できる必要があると考えた.4視点からの同時録画による実技試験システムを構築し,評価が可能な形に整備した.平成26年度中に本システムを利用した多学年参加型教育ワークショップ・セミナーを本開催する予定である. 多施設間でのITネットワークを活用した学外実習遠隔指導については,さらに精度の高いシステムを一部で試験導入しており,遠隔教育に利用を開始している.
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度からは,新たな多視点動画システムを用いた実技OSCE試験を中心とした多学年参加型教育ワークショップ・セミナーを地域医療をメインテーマに定期開催していく予定である.開催場所は,ITネットワーク化された4病院の他,新たに訪問診療施設なども順次会場とし,セミナーの開催に当たっては各病院からスタッフを募集できるよう準備している. 26年度中に開催される多学年参加型教育ワークショップ・セミナーにおいて,より客観性の得られる新たな手法を用いた教育効果判定を行い,その効果について評価を行う予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
実施計画の一部の変更に伴い,予算の組み直しを行って,物品の新たな購入を行った.年度末の購入の為に,一部の物品の購入が間に合わず,平成25年度分の使用額に対して,わずかな余剰金が生じた. 平成26年度から導入する「多視点からの同時録画による実技試験システム」に用いる記録カードの購入に使用する予定である.
|