研究課題/領域番号 |
24590625
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
横井 和美 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80300226)
|
研究分担者 |
栗田 裕 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70275171)
伊丹 君和 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30310626)
森 敏 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40200365)
|
キーワード | 介護・福祉 / 看護アセスメントツール / 立ち上がり支援 |
研究概要 |
「安全な立ち上がりを支援するアセスメントツールの開発:タブレット型情報端末を用いて」において、平成25年度は、タブレット型携帯情報端末に導入する安全な立ち上がりのアセスメントプログラムの作成を研究目的として実施した。平成24年度の文献調査では、エビデンス・レベルの高いと思われる学会誌より立ち上がり動作のアセスメントの視点となる項目を抽出することができた(人間看護学研究 第12号 p65-76、2014年に掲載)。その項目を基に、平成25年度では立ち上がり困難となる症状マネジメントや身体特性に応じた立ち上がりを選択するアセスメントプログラムを作成した。 立ち上がり動作は、足関節・膝関節・股関節・体幹の可動性、筋力、バランス機能、循環機能などが協働する複雑な動作であることから総合的に評価し援助することは画一ではない。しかし、アセスメントの項目を、身体機能の状態、環境状況、心理状況の項目に大別し、研究文献の根拠を基にそれぞれのアセスメントの視点の関連性を追究した結果、安全な立ち上がり支援の共通到達点に立ち上がりの症状マネジメントや身体特性に応じた立ち上がりの選択を設定することで、個別の状況を組み入れたアセスメントプログラムの作成が可能となった。 本アセスメントプログラムをディシジョンツリー式に作成しタブレット型情報端末に導入することで、個人の状況をタッチパネル形式で確認しながら立ち上がり動作の評価や方法の選択が、随時行えるアセスメントツールの開発を行った。現在、アセスメントツールの利便性や汎用性を高めるために、アセスメント所要時間が5~10分となるようプログラムの簡素化と的確化を図っている。また、開発したアセスメントツールは、個別条件を反映できるように身体機能の状態、環境状況、心理状況の項目を多面的に絡ませたものとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は個別の身体特性に応じた安全な立ち上がり援助が行える系統立てた看護アセスメントプログラムを作成し、アセスメントプログラムをタブレット型情報端末に導入することであった。安全な立ち上がり援助が行える系統立てたアセスメントプログラムは、到達点に立ち上がりの症状マネジメントや身体特性に応じた立ち上がりの選択を設定し、個別条件を反映できるように身体機能の状態、環境状況、心理状況の項目を多面的に絡ませタブレット型情報端末に導入し、タッチパネル形式で行えるアセスメントツールとして開発を試みた。 実際に臨床で活用できるように、アセスメントの所要時間を5~10分以内に収まるように、ディシジョンツリーの簡素化と的確化を図った。質問形式は展開の簡素化を図るためにYES・NOの2択制を用いて、質問数述べ67個、到達回答個数8個、到達回答までのパターン数65個に整理した。 現在、追加修正しやすいソフトを用いて展開の所要時間の調整を図り利便性や汎用性を目指しているため、立ち上がりの能力判断や援助方法に対して、リアルタイム表示(筋電計や動作分析リアルタイム画像表示)の動作根拠を取り組み、アセスメントの可視化を図るまでには至っていない。一定の利便性や汎用性を獲得したのちリアルタイム表示の動作根拠を取り組み、アセスメントの可視化による利便性を高める予定である。現在、簡素化したアセスメントツールの的確化について、立ち上がり困難者の現状との差異を確認する調査研究を計画している。所属大学の倫理審査委員会承認を得たのち実施する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究目的は、タブレット型情報端末を用いて開発したアセスメントツールを現場で試行しプログラムの改良を図ることである。 現在、追加修正しやすいソフトを用いて展開の所要時間の調整を図り、利便性や汎用性を第一に目指してアセスメントツールを開発した。開発したアセスメントツールは、アセスメントの所要時間を5~10分以内に収まる内容に簡素化した。今年度は、まず、実践用に簡素化したアセスメントツールの試行を行う。 アセスメントツールの試行から明らかにすることは、タブレット型情報端末の導入用に作成したディシジョンツリーの第1到達回答までの5パターン、第2到達回答までの1パターン、第3到達回答までの2パターン、第4到達回答までの2パターン、第5到達回答までの4パターン、第6到達回答までの16パターン、第7到達回答までの12パターン、第1到達回答までの22パターンの各条件が、臨床における立ち上がり困難者の状態を網羅しているものかの有無である。立ち上がり困難者からの情報を基にプログラムの見直しと修正を行う。また、立ち上がりの能力判断や援助方法に対して、リアルタイム表示(筋電計や動作分析リアルタイム画像表示)の動作根拠を取り組み、アセスメントの可視化を図る。 その後、病棟もしくは施設単位でタブレット型アセスメントツールの使用方法を伝授し、看護師を対象に本ツールの使い勝手やプログラムの不具合に関する情報を収集する。そして、これらの情報をプロトタイプのプログラムにフィードバックし、プログラムの完成度を高める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
開発したアセスメントツールをタブレット型情報端末に導入する際のプログラムソフト作成経費は、現在、修正可能なソフトを使用し試行段階であるため一部支払いとなっている。今年度の修正を加えての一括支払いと契約したため次年度使用額が生じた。アセスメントツールを導入するタブレット型情報端末の台数は、アセスメントツールを試行した後、画面の大きさを検討して揃えるため最低の台数を用意した。 プログラムソフト作成費は、プログラムの修正後の26年度に一括支払いする予定である。 アセスメントツールを導入したタブレット型情報端末は、画面の大きさを検討した後、調査に必要な台数を購入していく。
|