研究概要 |
一般用医薬品の多剤併用時の安全性に関しては、これまでほとんど検討されていない。そのため、多剤併用時の薬物相互作用による予期せぬ有害作用を回避することを目的として、一般用医薬品のチトクロームP450(CYP)に対する阻害効果をヒト肝ミクロソーム画分を用い検討した。本年度は一般用医薬品として精神神経用薬4種, 呼吸器官用薬6種, 消化器官用薬5種について、CYP1A2, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP3Aに対する影響を検討した。その結果、7種の一般用医薬品(noscapine, tipepidine hibenzate, methoxyphenamine hydrochloride, trimebutine maleate, papaverine hydrochloride, loperamide hydrochloride, oxethazaine)がCYPに対して50μM以下のIC50値を示したため、これらについてさらにKi 値ならびに阻害様式を明らかとした。tipepidine hibenzateはCYP2D6に対し強い阻害作用を示し、そのKi値は490nMであり、阻害様式は競合阻害であった。またnoscapineはCYP2C9およびCYP2C19に対し競合阻害を、CYP3A4には非競合阻害を示し、そのKi値はそれぞれ13.9μM, 2.72μM, 5.4μMであった。その他の医薬品に関しては、現在解析中である。今回CYPに対し強い阻害を示した医薬品については、今後さらに薬物相互作用を引き起こす可能性についての詳細な検討を行い、安全なセルフメディケーション推進のために、一般用医薬品の適切な選択、適正な使用のためのエビデンスとする予定である。
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