日常の細菌検査の結果のみを利用して菌の院内拡散を可視化する電子システムの精度を、多数株を用いゴールドスタンダードである分子疫学的方法によって検証した。アウトブレイク事例2例を含む21事例の423株について遺伝子の解析を行い、電子システムが導いた結論と突合した。電子システムの識別失敗率は、約30%で、感性菌が多く識別の困難な散発例が殆どであったことを考えると、十分な識別率と考えた。精度に影響を与える因子についての詳細な検討から、多数の因子の内、分離株の耐性率が有意な影響を与えることが分かった。電子化システムによる耐性菌感染対策に科学的根拠を与えることが出来たと考えた。
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