研究課題/領域番号 |
24590636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
上塚 芳郎 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40147418)
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研究分担者 |
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00159047)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 女性医師 / 男女共同参画 / 継続就労支援 / 外科 / 支援 |
研究概要 |
我が国では医師不足、医療崩壊が深刻化しており、現有資格者である女性医師の社会活用を促すことが急務である。女性医師の継続就労には、子育て支援、労働環境改善が不可欠だが、自分に適する支援策のある病院・診療所を探して勤務することは困難である。そこで病院毎・診療科毎の支援策カタログ(一覧)を作成すれば、女性医師に適した支援(院内24 時間保育、病児保育、他)のある認定修練施設を選択でき、継続就労を可能にし、認定医・専門医を取得できる優れた方策となり得ると考えた。新たに財源を探すのではなく、今ある支援を十分に周知・活用し、妊娠・出産を経て離職することなく、男女を問わず状況に応じて対応できる勤め先を得ることを目的として本研究を開始した。 研究成果として、日本医学会分科会110学会調査、手術器具の使い勝手に関する人間工学的調査、女性外科医が活躍するために必要な条件を調査し、勉強会を開催した。日本語論文のうち「日本外科学会女性外科医支援委員会. 日本医学会分科会における女性医師支援2011年 第2回目アンケート調査」は、3年後の変化を示している。さらに女性医師支援を目的に手術器具の人間工学的検討した論文「Rating and issues of mechanical anastomotic staplers in surgical practice: a survey of 241 Japanese gastroenterological surgeons」は日本外科学会の英文誌Surgery Todayに掲載された後、注目されMost Downloaded Articlesになり、活用されている。 2012年に限っても、発信している情報は多岐にわたっており、女性医師支援に役に立つことが期待されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
【1】日本において成功している女性医師支援の調査 2011 年として、(1)子育て支援、(2)継続就労支援、(3)復職支援、(4)学会の支援、(5)女性医師支援/男女共同参画:授業、セミナー、キャリアパス、他の調査を行い、結果をまとめ、論文として、成果報告の勉強会にて発信した。 【2】「病院長ができる」と公表されている継続就労対策の文献およびWeb 調査では、(1) ハードとソフトの整備、(2) 女性医師支援制度と女性医師再教育事業、(3) 支援する立場を明確にした取り組み、等に関して調査し、現在、結果をまとめている。 【3】大学病院における女性医師支援調査:日本の医学部・医科大学は80 あり、学部長・学長・病院長に、大学病院での院内24 時間保育/病児保育/一時緊急保育の工夫などをアンケート調査する。また、「代替医師」がいないとしわよせが残りの医師に来るため、病院全体で産休・育休をとった医師数、看護師、薬剤師、臨床工学技士の1 年間の数を調査し、代替医師の数を試算することを企画し、日本外科学会女性医師支援委員会から調査を行う予定である。 以上の他に女性医師に関して今後施策が必要になる項目について調査を行っている。以上から、投書の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、今年度も【1】日本において成功している女性医師支援の調査、【2】継続就労対策の文献およびWeb調査、【3】大学病院における女性医師支援の調査を行う。 文献及びWeb調査以外に、日本医学会分科会に属している学会での男女共同参画・女性医師支援セッションへの参加により、情報収集し、ネットワーク作りをして、研究だけでなく、改善のための提案に提案し、実際の労働環境改善につなげたい。The Global Gender Gap Report 2012によると日本の女性の地位は135ヵ国のうち101位ととても低い。2013年の第107回医師国家試験の合格者に占める女性の割合は32.7%と、女性医師は増加している。特に、外科を目指す女性医師は増加しており、日本外科学会では会員数の6%が女性医師であるが、新入会員の22%が女性医師であり、急激に増加している。しかし、女性医師にとって継続就労は、仕事と家庭の両立が難しく、小一の壁はあつく、M字カーブはきついなど、解決すべき問題点は多い。今後の研究の推進は、問題点を抽出し、解決方法を提案したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画通りに進める。 【4】医学会分科会の女性医師支援状況調査:医学会分科会の学会(110学会)において日本外科学会女性外科医支援委員会の2008年アンケート調査の3年後の調査を行う。女性医師支援組織の有無、男女共同参画事業の内容、女性会員数の把握と人数、女性評議員・理事数の改善度、女性医師/会員支援委員会の開催回数。委員会のURLの有無、学術集会での女性医師支援のセッションの企画の有無。認定医、専門医などの更新の留保条件の改善度(留学、妊娠・出産が条件か。今後、介護も留保条件になる可能性)、学会託児所設置(実際に利用しなくても学会の姿勢が現れる)。 【5】学会認定修練施設支援カタログ(一覧):①支援策カタログ(一覧)に必要な項目の抽出、②医学会分科会の学会認定修練施設の調査:調査を行う学会は女性医師が多く、認定医・専門医制度があり、認定修練施設の名前、住所、修練責任者の名前が公表されていて、学会事務局の協力が得られるところを選ぶ。調査はメールにアンケート用紙を添付して行う。③学会認定修練施設・病院の女性医師支援カタログ作成・公表日本女性外科医会が行、アンケート調査2011年5月にホームページに掲載した「日本外科学会代議員の施設における女性勤務外科医師に関する調査報告書」(日外会誌、2011;112(5):349)http://jaws.umin.jp/pdf/JAWS_report_v12.pdf と同様に公表する。④学会認定修練施設・病院の女性医師支援カタログの評価:使い勝手を日本女性外科医会の会員160名にアンケート調査し、改良する。
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