研究課題/領域番号 |
24590637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
田中 越郎 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80211366)
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研究分担者 |
本間 和宏 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (00190273)
若菜 宣明 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (30508221)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 母乳 / 栄養学 / 蛋白質量 |
研究概要 |
本年度の研究実績としては、ドライケミストリー法により測定した母乳中のタンパク質量1.6±0.5g/dL(1.1~4.3g/dL、n=64)に比べて、ケルダール法により測定したタンパク質量2.0±0.5g/dL(1.5~4.4 g/dL、n=64)は有意に高値(p<0.05)であった。ドライケミストリー法により測定したタンパク質量とケルダール法により測定したタンパク質量の間には強い相関関係が認められた(y=0.9267x+0.5421,r=0.968,p<0.05)。このようにドライケミストリー法とケルダール法とは測定原理が異なってはいるものの、両者の測定値を直線回帰分析により比較検討すると、r=0.968ときわめて強い正の相関を示した。このことは、ドライケミストリー法で求めたタンパク質量は、補正(y=0.9267x+0.5421)を行なうことで、日本食品標準成分表のケルダール法で求めたタンパク質量と同様な評価を行うことができることを示した。 乳児の健やかな成育を担う母乳中の成分の微量測定法を検討することで、母乳中の成分を栄養学的に検討するための基礎的データが得られたことに意義がある。これは測定機器のドライケムがあれば、検診などで来院した授乳婦が測定された自己の母乳中のタンパク質量に基づいたアドバイスなどを受けることができ、母乳哺育を推進することにつながるなど、授乳婦を対象とした栄養指導において母乳成分の変動などの科学的根拠の蓄積につながるため重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドライケミストリー法により測定した母乳中のタンパク質量1.6±0.5g/dL(1.1~4.3g/dL、n=64)に比べて、ケルダール法により測定したタンパク質量2.0±0.5g/dL(1.5~4.4 g/dL、n=64)は有意に高値(p<0.05)であった。ドライケミストリー法により測定したタンパク質量とケルダール法により測定したタンパク質量の間には強い相関関係が認められた(y=0.9267x+0.5421,r=0.968,p<0.05)。このように様々なデータが順調に蓄積されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
母乳成分には季節感変動があるため、本年度は条件設定等を考慮すると、年間を通しての母乳成分値の変動を検討する。その後は過去2年間に蓄積された母乳中の各項目の測定値および日本人を対象とした文献等のデータと照合し基準値を確定する。また、母乳の測定値のデータを要求する授乳婦にデータを提供し、乳児の母乳による栄養摂取状況等の説明を行う。この際、授乳婦に対してアンケート調査を行い、授乳婦の栄養指導に対する満足度を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画としては、季節間変動を観察するため、富士ドライケムの測定用スライドを購入するほか、実験に使用する試薬、ガラス器具、プラスチック器具などを購入する。
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