研究課題/領域番号 |
24590641
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
小池 則満 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (50293741)
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研究分担者 |
廣内 大助 信州大学, 教育学部, 教授 (50424916)
倉橋 奨 愛知工業大学, 工学部, その他 (60510899)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 津波 / クリアランスタイム / 災害医療 / 傷病者搬送 / 緊急地震速報 |
研究実績の概要 |
災害時のクリアランスタイムには台風のように数日前からある程度の予測がし得るものから、緊急地震速報によって数秒から数十秒の余裕時間を得るものまで、さまざまなものがある。こうしたクリアランスタイムを要援護者搬送計画にどのように反映させるべきか考察することが目的である。 まず、米国の研究レビューを行って特にハリケーン接近時における避難行動についての用語の整理等を行った。次に、特に津波注意喚起に着目したシステムの構築と、これが実用化された場合の医療活動への影響について、愛知県知多半島を事例として計算を行った。まず、津波発生にはマグニチュードと震源の深さが関係していることに着目して、緊急地震速報から得られる情報に基づいて、簡易にかつ迅速に、津波発生の可能性を知らせるシステムのプロトタイプを構築した。このシステムによって得られるクリアランスタイムによって避難率が向上し、傷病者が減少した場合を考え、各災害拠点病院に対応が求められる患者数がどのように変化するか計算した。その結果、特に知多半島南部では、津波による傷病者が減少することによる効果が得られるが、地震動による想定死傷者も知多半島全域で多いことから、全体としては傷病者対応の地域バランスが大きく変動することはないこと、また南海トラフ地震を想定すれば、震源地から遠い知多半島北部では、病院規模と比較して傷病者への対応は少なく済むこと、などを明らかにした。 以上の通り、クリアランスタイムという発災前に与えられる余裕時間によって傷病者への対応がどのように変化するか、対象地域への試算を通じて明らかにできたことから、所定の研究目的は達成できたものと考えている。
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