研究課題/領域番号 |
24590642
|
研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
斉藤 宗則 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 准教授 (90399080)
|
キーワード | 伝統医学 / 基礎理論 / 鍼灸 / 東洋医学 / 古典 / 文献調査 |
研究概要 |
中国では伝統医学の近代化を図り、古典を基にその体系の基礎を教科書『中医基礎理論』として使用している。日本では独自の発展 を遂げたが、それらを反映した研究資料や教科書がない。一方、伝統医学の標準化が世界レベルで進められる中、日本は会議において 基礎資料が不足しているため、苦戦を強いられている。日本の伝統医学の古典に基づいた体系化・近代化をさらに進め、世界の標準化 に強く参画するためにも、日本の古典に基づいた理論基盤を整備し、それを反映した研究資料・教科書を作成する必要がある。 前年に引き続き、主に鍼灸と関連する文献資料についてデジタル媒体にない文献も収集し、整理を行った。 調査の途中経過ではあるが、伝統医学の基礎理論について以下のような印象を得ている。平安~安土桃山:前期は中国伝来書の取捨選択をした時期で、基礎理論としては「蔵象」が目立ち、後期(およそ永禄年間以降)には流派が成立し、日本独自の見方の形成および体系化が見られた。江戸前期:室町後期を引き継ぐ第1期は中世仏教医学の影響を色濃く残すが記載は多くない。明医学の断片的流入が見られる第2期は、『難経』『内経』『発揮』の断片的知識が中心であり、打鍼術等独自の技術に伴う五臓論・病因論・補瀉論等が見られる。明医学の本格的流入による第3期は、『鍼灸聚英』等諸書の知識を吸収し、大きくは杉山流の難経系基礎理論、柳川流・矢野流の内経系基礎理論、鍼灸医学の体系化の試みが見られた。一方、明治以降の鍼灸関連雑誌について、雑誌の継承・発展等を含めた概要をつかむことができた。 日本の文献を対象とした伝統医学の基礎理論の網羅的な調査によって、古代から現代までの基礎理論の概要が明らかになった。 現在、ISOにおいて伝統医学の専門用語を含む医療情報の標準化が進められているが、日本の状況を反映する重要な根拠となり得る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各研究者の担当には、平安~安土桃山、江戸前期、江戸後期、明治以降、DB作成があり、江戸前期とDB作成を除いて今年度の目標に達している。また、シンポジウムについては、日中関係や中国の大気汚染等のため、開催しにくい状況であることから、次年度に先送りすることとした。
|
今後の研究の推進方策 |
詳細なDB構築の作成が遅れているため、必要に応じて代表者が各担当部分に介入していく。医療情報の専門家の協力依頼も視野に入れる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
中国でのシンポジウム開催を延期したため シンポジウムを平成26年度の秋から冬にかけて開催する見込みである
|