研究課題/領域番号 |
24590643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
恩田 光子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (60301842)
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研究分担者 |
岡田 浩 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10533838)
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), その他部局等, 室長 (40335443)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地域医療学 |
研究概要 |
国内では、保険薬局における慢性疾患患者の支援効果については、ほとんど客観的に検証されていない。また、慢性疾患患者の支援を行う薬剤師を育成するプログラムも現在公表されておらず、その有効性も不明である。本研究により、薬局で実施する慢性疾患患者の管理プログラムの有効性が確認されれば、医師の業務軽減や医療費の適正化など、日本が現在抱えている医療政策上の問題に対する解決策として、医療資源の効率的配分を具現化する地域ケアモデルを提示できる可能性がある。 我々は、オーストラリアの地域薬局での糖尿病患者への介入プログラムを参考に作成したプロトコールによるパイロット研究を平成23年4月より開始し、平成24年度の7月にほぼ終了させた。本研究は、クラスターランダム化比較試験で、支援群の薬局に勤務する薬剤師は、間食、運動、飲酒の3分野について、①歩数計貸与、②薬剤師による配付用資材を用いた情報提供、③ニューズレターの配付、④動機付け面接といった軽微な介入を行った。同程度の介入による海外での先行研究では、医療制度は異なるものの、登録患者の平均HbA1c が8%を越えている程度の場合は0.5-1.0%低下している。我々が実施した当該研究の実施6ヶ月後に行った解析の結果では、HbA1c値は支援群で0.8、通常群で0.5改善していた。また、生存分析の結果、患者のHbA1cを0.5以上改善させる成功割合は、支援群が通常群に比べて2.2倍高かった。本研究より、薬局薬剤師による糖尿病患者支援の有効性が明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、保険薬局における生活習慣病管理プログラムを作成し、その有効性・安全性とその経済的効果を検証することにより、医療資源の効率的配分を実現する地域ケアモデルを提示することを目的として、具体的には、「生活習慣病患者療養支援プログラム」の開発、プログラムの実施前後で、対象患者の検査値(血圧,HbA1c,PT-INRなど)改善の有無、患者の療養に対する行動変容(知識・意欲・態度の変化)、プログラムを実施した薬剤師の行動変容(知識・意欲・態度の変化)の検証を目指す。平成24年度は、パイロットスタディの結果を解析し、国内外での学会発表と論文作成を行うとともに、研究プロトコルの再検討を進めてきた。平成24年度の研究目的はほぼ当初の予定どおりほぼ達成できたと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度から進めてきた高血圧患者及び糖尿病患者の療養支援に関する介入研究のプロトコルを構築し支援プログラムの内容を固め、高血圧患者に対する介入研究については今年度中(12月の本実施を目標とする)の実施を目指す。具体的には、関東、関西、九州地区の薬局に協力を依頼して、高血圧患者を対象とした介入研究を行う。介入として、薬剤師による高血圧への情報提供と、食事・運動についての具体的なアドバイスなどを実施し、家庭血圧を記録してもらう。薬剤師は、動機づけ面接の手法を研修で学び患者のセルフケアをサポートする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、高血圧患者及び糖尿病患者の療養支援に関する介入研究を実施するにあたって実施する説明会及び介入プログラムに含まれる動機づけ面接の研修会を各地で開始するための諸費用、介入プログラムに含まれる自己血圧測定器、自己血糖測定器、周辺備品、消耗品、その他調査票の印刷費、データ記録用ファイルや文房具、郵送費、事務費、協力者への謝金等に研究費を充当する予定である。
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