研究課題/領域番号 |
24590643
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
恩田 光子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (60301842)
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研究分担者 |
岡田 浩 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10533838)
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (40335443)
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キーワード | 生活習慣病 / 薬剤師 / 介入 / アウトカム |
研究概要 |
今年度は、初年度に実施したパイロット研究のデータを下記の視点から分析・精査し、得られた知見について論文化を行った。 1.経口血糖降下薬の服薬アドヒアランスの実態と関連要因 COMPASS Projectに参加した糖尿病患者を対象とし、「性別」「年齢」「現在のHbA1c」「診断されてからの年月」「服用中の経口血糖降下薬」「用法・用量」「併用薬数」「アドヒアランス」を調査した。アドヒアランスの関連要因を調べるため、一元配置分散分析にて解析を行った。115名分の患者について、平均年齢は63歳、A1c(平均値は8.3であった。234剤の経口血糖降下薬が抽出され、SU剤(33.8%)が最も高く、BG(22.6%)が続いた。経口血糖降下薬の併用数は2剤が最も高かった。患者全体の服薬アドヒアランスの平均は93.6%であった。年代別では50歳以下が61歳以上に比べ有意に低く、服用回数別では分3は分1に比べ有意に低かった。経口血糖降下薬のアドヒアランスは年齢と服用回数に関連しており、分3、50歳台以下では低下するため、これらを考慮に入れて服薬指導を実践する必要がある 2.薬局薬剤師が2型糖尿病患者から受ける質問内容に関するテキストアナリシス 2型糖尿病患者が薬局薬剤師に対して行う質問は“治療”、“生活習慣”、“不安”の3つに大別できた。薬剤師は2型糖尿病患者に対し、精神的な支援や生活習慣を含む包括的な支援が必要であると示唆された。これらの成果を踏まえ、高血圧(糖尿病)患者への支援プログラムについて、海外の先行研究についてレビューを行い、国内の関連学会などへ参加することにより、介入研究のためのプロトコル作成、調査票のデザイン、調査フィールドの開拓(研修会の開催を含む)などに取り組んだ。国内における研究実績がほとんどないため、医学的・社会的意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、今年度高血圧患者への支援プログラムの検証を目的とした介入研究を実施する予定であった。しかし、日本国内において、薬局薬剤師による血圧管理、血糖値管理プログラムの有効性を検討した報告はほとんどないため、プロトコル構築にあたり海外の先行研究事例の検索・情報収集等を入念に行い、実際のプロトコル構築と協力薬局の開拓・依頼、研究倫理審査委員会への書類提出準備にも相当の時間を要したため、来年度に高血圧患者、糖尿病患者を対象とした介入研究を連続して実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、研究倫理審査への提出資料を鋭意作成中で内容はほぼ固まっている。あとは調査協力薬局を確定すべくリクルートを継続している。先行研究の知見に基づき、2群間の差を検定するために必要になるサンプルサイズを試算したところ、支援群と通常群で各45名程度が必要である(参加者の脱落を10%程度と想定すると、各群60名程度必要)。 したがって、40か所程度の協力薬局を確保するために、現在説明会を実施する計画を立てている。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査協力フィールドの確保、説明会開催、研究倫理審査委員会への書類申請に想定以上の時間を要し、介入研究の実施が平成26年度にずれこんだため、助成金の執行が遅れた。 平成26年度に2つの介入研究を連続して実施するべく、プロトコール及び研究実施計画を変更し、6月から実施する予定である。
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