研究課題/領域番号 |
24590644
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
山下 仁 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (10248750)
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キーワード | 鍼灸 / 安全性 / 学校教育 / 医療安全教育 / 教育コンテンツ / 教育の質 / 鍼灸学科 / ワークショップ |
研究概要 |
10年間で4倍に増加した鍼灸師養成課程(鍼灸学科)の医療安全教育の質・量の評価と教育用コンテンツモデルの開発を計画した。平成24年度に続いて25年度も鍼灸学科の医療安全教育の現状に関する調査把握と、鍼灸による有害事象・過誤報告に関する調査を行った。 1.医療安全教育の現状調査においては、全国の鍼灸学科を有する大学・専門学校を対象とした質問調査が別の研究グループにより行われたため、重複を避けて調査票の郵送を中止し、このグループと共同で大学・専門学校と比較可能な質問票を視覚支援学校・視力障害センター計67施設に送付した。その結果、39施設から回答を得た(回収率58.2%)。ほぼすべての施設が重要な有害事象や禁忌・刺鍼深度などについては教授していたが、セクハラ・パワハラは74%、心肺蘇生法と自動体外式除細動器については41%の施設のみ取り扱っていた。また、学生のB型肝炎ワクチン接種を実施していると回答した施設は44%であった。今回の結果から、視覚障害者の理療教育施設における鍼灸安全教育は、施設にかかわらずほぼ同等に行われているが、一部の教育内容については大学・専門学校とともに情報更新や再検討を行う必要があると思われた。 2.有害事象・過誤報告に関しては、鍼治療により生じた神経傷害例の情報収集とレビューを実施した。埋没鍼の禁止とディスポーザブル鍼の普及により、相対的に埋没鍼と折鍼による有害事象報告は減少していた。しかし刺鍼による上部頚椎周辺での神経傷害が目立つため、この部位での刺鍼深度に関する知識と技術の教育の再検討の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現状把握のための学校に対するアンケート調査が遅れたため、それを踏まえて実施する教育コンテンツ作成の作業が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
全国の鍼灸学科の安全教育の現状、および鍼灸の有害事象に関する症例報告の近年の状況がおおよそ把握できたので、それを踏まえた教育面での対策を当該領域のエキスパートを対象として、デルファイ法によりモデルケースを作成する。 さらに、ワークショップを開催することにより議論を重ねて、教育コンテンツを作り上げていく予定である。
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