研究課題/領域番号 |
24590646
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
井上 剛 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80388941)
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研究分担者 |
木村 和美 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00388927)
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キーワード | PACS / 携帯インターネット端末 / 脳卒中診療支援 / 遠隔医療 |
研究概要 |
脳卒中急性期患者は地域の至る所で発生し、診療所や病院で治療されている。しかし、必ずしも脳卒中専門医が診療を行っているわけではない。地域の都市部基幹病院にしか脳卒中専門医がいないため、実際の診療は内科医、外科医、救急医や耳鼻科医が主治医として診療にあたっている。現場では常に脳卒中専門医による治療方針等のコンサルトが渇望されている。特に、脳梗塞急性期に対するt-PA静注療法(血栓溶解療法)は脳卒中専門医不在の病院では実施されていないのが現状である。これを打破するため24時間対応の脳卒中診療支援システムを構築し運用している。 平成25年9月より、川崎医科大学附属川崎病院脳卒中科医師が携帯するiPad miniと心臓病センター榊原病院PACSをつないで画像転送するコニカミノルタ「連携ボックス」を利用した24時間対応の院外脳卒中コンサルティングシステムの運用を開始した。平成26年2月末まで患者6人、榊原病院から川崎病院脳卒中科へ院外コンサルトがあった。年齢は71~83歳、男性2人。疾患は脳梗塞5人、硬膜下血腫1人。心臓や末梢血管の手術直前・直後の発症・発見が5人。1人は川崎病院へ転送されt-PA静注療法を行った。全患者で、頭部MRI検査直後に榊原病院医師から川崎病院脳卒中科医師へ院外コンサルトをされた。 現在は、脳卒中院外コンサルティングシステムを利用した榊原病院で脳梗塞急性期に対するt-PA静注療法を開始し川崎病院へ患者搬送するDrip & Shipのシステムを構築中である。 また、岡山県南東部の地方都市の脳神経専門医師不在の中核病院それぞれへ本システムの導入を勧めている段階である。榊原病院でのt-PA静注のDrip & Shipシステムのプログラム完成と実践と同時に岡山県内の遠隔地域の複数病院へ導入する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の計画では、新見高梁地区の病院との診療支援を予定していたが、主任研究者が川崎医科大学附属川崎病院へ移動となったのに合わせて、連携先の病院を岡山県南東部を中心に変わった。しかし、岡山県内では新見高梁地区が最も医療過疎で深刻であり、同地区への取り組みを継続する。また、診療支援のツールとして、「i-Stroke」の導入を予定していたが、「i-Stroke」の導入に少ない見積もりで約800万円の費用を必要とし、高額なため大学として導入を断念した。代わりに、導入コスト(数十万円)の小さい次世代型のコニカミノルタの「連携ボックス」を利用して、運用し研究を行っている。平成25年8月より、岡山県南東部の100施設が参加する脳卒中地域連携グループ「もも脳ネット」の事務局が川崎病院へ移管した。この「もも脳ネット」のネットワークも利用した研究の遂行も検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、岡山県では県庁主導で県内のIT医療連携ネットワーク「晴れやかネット」が県内の主要病院で導入されようとしている。いずれは、本研究のような施設間のネットワークから県内統一のITネットワークを利用した遠隔医療を展開したい。本年度の「晴れやかネット」の機能拡張で本研究の利用を提案する予定である。まだ、地域での十分な脳卒中診療支援ができているとは言えず。本研究をさらに遂行していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では、各病院に1病院につき1つのパソコン・サーバを購入(約100万円)して利用するということだったが。現在利用しているコニカミノルタ「連携ボックス」はクラウド型で数十万円とより安価で導入できるが、毎月の2万円ほどの維持費を要するので、科研費での購入は困難である。榊原病院の運用は病院負担としている。 現在、県南東部地区の各病院へシステム導入を働きかけており、導入病院では院内PACS画像を送信するためのパソコンが必要であり、その費用として科研費で購入を予定する。
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