【目的】脳卒中専門医不在の医療機関では脳卒中急性期患者は日々発生し、院外専門医による治療方針等のコンサルトを行う遠隔画像診療支援システムは有用と考えられる。平成25年9月より岡山市(県南東部)の榊原病院と平成27年3月より新見市(高梁新見)の太田病院・新見中央病院・渡辺病院の病院PACSを院外の川崎医科大学の脳卒中専門医師が携帯するiPhoneへ結び、CTやMRI画像を転送して電話で診療指示する24時間対応の遠隔医療を運用している。安価なシステム導入のため、コニカミノルタ「連携ボックス」、新見医師会・エヌディエス「Z連携」、医知悟LLC「iCOMBOX」を用いた。 【方法】遠隔医療の全患者を前向きに登録、脳卒中患者背景、画像転送からコンサルト返信の内容と時間、t-PA療法、t-PA drip & ship、転院の有無等を検討した。 【成績】2年2か月間に35例登録(榊原病院33例、新見市内病院2例)、脳卒中26例(74%、新見市1例、平均75歳、男性14例)。病型は脳梗塞18例、TIA2例、脳出血4例(新見市1例)、くも膜下出血2例。24時間以内発症21例(81%)。画像撮影から脳卒中専門医への転送時間は平均101分3例分、専門医から遠隔病院の返信時間は平均41分。転送画像は頭部MRI15例(57%)。6例(新見市1例)は転院し3例(12%)にt-PA療法を行い、1例はt-PA drip & ship。21例(81%)は専門医不在病院の外来・入院で診療継続した。 【結論】本遠隔医療を利用した脳卒中は脳疾患の74%を占め、24時間以内発症81%。8割の患者は転院せず診療を継続した。 システム開始2年目に岡山市内病院でt-PA drip & ship1例施行した。今後、高梁新見地区での普及と真庭・津山英田地区へシステム導入を図る。
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