研究課題/領域番号 |
24590648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
冨重 恵利紗 九州保健福祉大学, 薬学部, 助手 (20538657)
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研究分担者 |
河内 明夫 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (80389593)
本屋 敏郎 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (60166345)
佐藤 圭創 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (00315293)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 定期的健康相談 / 山間地域 / POCT |
研究概要 |
「山間部過疎地域医療支援システムの構築―医師・薬剤師協働“定期的健康相談”の展開」に関する研究を行うにあたって、①山間部過疎地域における定期的健康相談実施による健康相談事例及びサポート事例、受診勧奨事例等の収集・解析、健康啓発教育の実施、②定期的健康相談の有用性検討、過疎地域住民の医療ニーズ検証、③地域医師・薬剤師との事業連携を模索し持続可能な地域医療支援システムの構築を提案を目標としている。①については本事業開始(平成22年12月)から平成25年4月までに収集した健康相談事例及びサポート事例、受診勧奨事例等を診療科別に分け解析を行っている。平成24年5月までに32名が健康相談に参加、うち65歳以上の高齢者は50%であったことを報告した(第22回日本医療薬学会年会、2012.10、新潟)。総相談件数は76件であり、内訳は皮膚科疾患、循環器、呼吸器、消化器、泌尿器等であった。相談に対する対応として、かかりつけ医・専門医療機関への受診勧奨、OTC薬等による処置や治療、生活指導、医薬品適正使用、病識不足に対する情報提供等を行った。またPOCT(Point of care testing、臨床現場即時検査)を13名に実施し、その結果に基づいた受診勧奨、OTC薬等による処置や治療、生活指導、医薬品適正使用等を行い、POCTは山間地域住民の疾患の早期発見や予防に有用であることが示された。②に関しては診療科別の解析結果を基に、過疎地域住民の医療ニーズを検証するとともに、定期的健康相談の有用性を探るため、地域住民へのアンケートを作成している。③の目標達成に向け、地域住民のかかりつけ医やかかりつけ薬局と連携した事例を積み上げているところであり、これらの事例のうち認知症患者の服薬コンプライアンス向上に向けた取組等、3症例について報告した(医療薬学フォーラム2012、2012.7、福岡)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宮崎県延岡市山間地域住民(平成25年5月1日現在37世帯、79名、延岡市統計)を対象に地区公民館にて医師・薬剤師協働による定期的健康相談を実施した(毎月2回)。平成24年度の健康相談実施回数は22回、平成22年12月の健康相談事業開始から54回と継続的に実施し、住民の約半数にあたる39名(男性15名、女性24名)が参加している。また、健康啓発教育の一つとして、毎月1回健康相談パンフレットを発行し、地域住民の健康づくりをサポートした。本事業開始から平成24年5月までに収集した健康相談事例及びサポート事例、受診勧奨事例等を診療科別に分け解析した結果を第22回日本医療薬学会年会にて報告した。これらのことから、本研究はおおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き延岡市山間部過疎地域住民を対象とした医師・薬剤師協働「定期的健康相談」ならびに健康啓発教育を実施し、医学的・薬学的アプローチで地域住民に医療サポートを行う。また、血圧計、パルスオキシメーター等の非侵襲的ポータブル計測機器や血清脂質・血糖簡易式迅速測定装置、HbA1c測定装置、超音波骨量測定装置等を用いた簡易迅速検査(POCT検査)実施により、疾患の早期発見、治療効果や副作用のモニタリングを行い、検査結果に基づいた医薬品適正使用や生活指導等を行うこととする。これらの健康相談・サポート事例、及び専門医への受診勧奨事例データを解析するとともに、地域住民に対するアンケート調査を実施することにより「定期的健康相談」の有用性や過疎地域住民の医療ニーズを検証する。 地域住民のかかりつけ医・かかりつけ薬局や地域包括支援センターとの連携を密に取り合うことにより能率的に研究を推進することに加え、本研究の最終目標である延岡市医師会ならびに延岡市薬剤師会と連携した持続可能な地域医療支援システムの構築を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
本健康相談実施中において応急的処置の必要なケースや禁煙指導を含めた生活習慣改善を行うケースを想定したOTC薬やこれまでの健康相談内容から皮膚科関連疾患に関することが多かったことから皮膚科用薬剤を購入する。さらに、山間地域においてPOCT検査が有用であると考えられたため、血清脂質・血糖簡易式迅速測定装置及び超音波骨量測定装置等による検査を実施するにあたっての必要な検査キット、ゲル等の購入費用を計上する。また、健康相談への対応に必要な在宅医療・セルフメディケーション関連書籍を購入する。 第23回日本医療薬学会年会(2013年9月21-22日、仙台)にて研究成果の発表を予定しており、その学会旅費を計上する。平成24年度に引き続き、過疎地域訪問用旅費(燃料費/1回訪問につき約100 km走行概算、研究協力者は約200 km走行概算)を計上する。また、論文請求・投稿料のための経費を計上する。
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