研究課題/領域番号 |
24590651
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
田丸 亜貴 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 主任研究員 (70270767)
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研究分担者 |
松本 壮吉 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30244073)
和田 崇之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (70332450)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多剤耐性結核 |
研究概要 |
本研究では、大阪府内地域分子疫学の結果発見された感染性が高いと強く示唆される多剤耐性結核菌V02群株(以下、V02群株)をゲノム解析し、他の複数の結核菌ゲノム配列と比較することにより特異的遺伝子変異を検出し、その変異を過去の大規模結核集団感染原因株や多発性広域感染株など分子疫学的に感染性が高いと疑われる菌株と比べることにより、結核菌感染性マーカーとなりうる遺伝子あるいは遺伝子変異を特定することを目的とする。 平成24年度は、まずV02群株の分子疫学上の特異性についての論文を投稿し、PLOS ONEで掲載された(PLOS One. 7(8) :e42505)。次に、V02群株に特異的かつ形質に影響しうる変異を調査するため、①2002年大阪南部分離株、②2010年大阪北部分離株、③④V02株のうち唯一患者接触歴が確認できていたペアの2株、の計4株のV02群株について次世代シーケンサーにより配列情報を求めた。はじめに、これら4株について次世代シーケンサー解析に供しうる精製度のDNAを得るための抽出法を検討し、市販DNA抽出キットより抽出効率の高く安価なlysozymeとproteinase Kを用いた方法を選択した。精製したDNAはイルミナHiSeq2000を用いてペアエンド法で解析した。得られた配列情報は、すでにゲノム配列の決定している結核菌標準菌株H37RvおよびBeijing系統のCCDC5079をそれぞれリファレンスとしてBWAを用いてマッチングし、samtoolを使ってSNPをコールした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次世代シーケンサーでの解析までは計画通りに進むことができたが、四世代シーケンサーデータ解析法の検討およびLinux習得に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は、さらにV02群株のうち数株とV02群株と同じBeijing ancient株でVNTR型別による遺伝型が近いが異なる株のうち複数株を対象として次世代シーケンサーにて配列情報を得てSNP解析を行う。 これらの昨年度の結果と併せて比較し、V02群株に共通して存在するが他の株にはみられない遺伝子変異のうち、アミノ酸変異を生じる非同義変異かつ遺伝子に影響する変異を抽出する。 H24年度に検出したV02群特異的変異の候補が、他のV02群株にも存在するか否かについて、ダイレクトシーケンスで確認する。すべてのV02群株に共通する遺伝子変異のうち、薬剤耐性変異を除いたものをV02 群特異的変異とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次世代シーケンス依頼費用として80万円、 次世代シーケンサー配列解析用ソフトウエア費用として25万円 ダイレクトシーケンス等の消耗品費として20万円 論文投稿等として20万円 旅費として15万円
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