研究課題
本研究では、大阪府内地域分子疫学の結果発見された感染性が高いと強く示唆される多剤耐性結核菌V02群株(以下、V02群株)をゲノム解析し、他の複数の結核菌ゲノム配列と比較することにより特異的遺伝子変異を検出し、結核菌感染性マーカーとなりうる遺伝子あるいは遺伝子変異を特定することを目的とする。H25年度までに4株のV02 群株をSNPs解析したところ、株間で複数のSNPがあったことから、残り11株のV02 群株を新たにゲノム解析し、合計15株のV02 群株SNPsの位置の比較を行った。その結果、15株は共通SNPsの位置から3株・4株・8株のサブグループに分かれ、各サブグループ内では1 ~7個SNPsが見られた。この株間のSNPs数は同一感染源からの感染事例由来株で報告されているSNPs数より多いことから、V02 群株の複数の祖先株から発生したことが推測された。しかし、V02 群の3群のサブグループの大きさは多剤耐性結核菌の同一遺伝子クラスターの中では依然として大きいこと、すなわちV02 群株のそれぞれのサブグループが他の多剤耐性結核菌より多く伝搬していることから、V02群株が感染性の高い株であることがゲノム解析の結果からも確認できた。結核菌標準菌株H37Rvと比較すると、15株のV02群株の共通SNPsは約1200か所あった。予定では他の結核菌株との比較、非同義変異かつ遺伝子に影響する変異を抽出する予定であったが、そこまでの解析は未実施である。
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