研究課題
この研究は統合失調症患者で、メタボリック症候群などの代謝異常と抗酸化体酵素の潜在的機能多型との間に関係があるかどうかを調査した。154人の統合失調症日本人患者と203人の健常人コントロールにおいて、グルタチオンS-transferase(GST)M1欠失とGSTT1欠失および過酸化物ジスムターゼ2(SOD2)におけるVal16Ala多型と過体重あるいはメタボリックシンドロームとの関係をロジスティック回帰分析にて検討した。統合失調症の喫煙者では、GSTM1遺伝子欠失者の方がGSTM1非欠失者より過体重とHDLコレステロール減少のリスクが高かった(オッズ比3.20, p=0.03および3.15、p=0.04)。一方非喫煙者では、GSTM1遺伝子欠失者の方が異常胴囲のリスクが低かった。GSTM1遺伝子欠失とGSTT1遺伝子非欠失の組み合わせで他の遺伝子の組み合わせに比較し、HDLコレステロール減少のリスクは高かった(オッズ比3.60、P < 0.01)。SOD2 Val16Ala遺伝子多型は、どちらのグループでも代謝異常の危険性と関係していなかった。本研究結果はGSTM1遺伝子欠失型が、喫煙あるいはGSTT1遺伝子非欠失型と合わさった状態で統合失調症の代謝異常と関連することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
今回の研究で統合失調症患者におけるメタボリック症候群のリスク遺伝子が一部解明できた。ただし、血中濃度と副作用の関連はまだ見ていない。
サンプリングはほぼ終了し、部分的な解析も終了している。今後は包括的な研究成果をまとめる。これまで、臨床効果に関する解析と副作用に関する解析を平行に行ってきたが、今後は同時に解析を試みる。そのためには共分散構造分析などの新たな統計的手法を用いて、臨床的に意義のある要因を解明してく予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件)
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