研究課題/領域番号 |
24590654
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮内 卓 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60222329)
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研究分担者 |
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
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キーワード | エンドセリン / エンドセリン受容体 / 受容体遮断薬 / 受容体サブタイプ / 心血管障害 |
研究概要 |
エンドセリン-B受容体の心血管障害での役割を検討するためには、エンドセリン-A/-B 両受容体遮断薬と選択的エンドセリン-A受容体遮断薬の薬効の差異を研究して、エンドセリン-B受容体遮断がどのように心血管障害に影響するかの考察は重要である。本研究にて、エンドセリン-A/-B 両受容体遮断薬 SB209670 および 選択的エンドセリン-A受容体遮断薬 TA-0201を用いて、上記の検討を行った。肺高血圧症ラットの心臓血管障害と糖尿病ラットの心臓血管障害は 同様の過程をたどる部分もあるため、ラットにストレプトゾトシンを腹内に注射をして、糖尿病を作製して薬理学的研究を行った。 TA-0210 もしくはSB209676 が、4週間 浸透圧ミニポンプにてラットに投与された。心エコーによる検討にて、どちらの遮断薬も、糖尿病ラットで低下した心機能(% FS の低下)を、有意に かつ 同じ程度に改善した。糖尿病ラットでの心臓におけるvascular endothelial growth factor (VEGE)の発現低下をどちらの遮断薬も改善し、その改善の程度は SB209670のほうがTA-0210よりも、大きかった。VEGFは、糖尿病心のinadequet な (不都合な)冠側副血管新生の新生を促進してしまうことが考えられる。 ゆえに本研究にて、糖尿病ラットでの心臓におけるVEGF発現低下の改善の程度は A/B 両受容体遮断薬SB209670のほうがA選択的遮断薬TA-0210 よりも、大きいことが判明し、この差異がエンドセリン-B受容体の遮断に起因することが推察された 。ゆえに、エンドセリン-B受容体の遮断は、いろいろな心血管障害に有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エンドセリンの受容体には2種類あり(エンドセリンーA受容体 と エンドセリンーB受容体)、本研究では、とりわけエンドセリンーB受容体の病態生理的役割に着目をして研究を進めている。ラットおよびマウスの心血管障害(肺高血圧症、糖尿病性心血管障害)について、エンドセリンーB受容体の病態生理学的役割が、エンドセリンーA受容体の役割と対比されて明らかになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
心血管障害、とりわけ、肺高血圧症における心血管障害におけるエンドセリン-B受容体の役割の研究を推移する予定である。エンドセリン-B受容体への 薬理学的遮断とエンドセリン-B受容体の遺伝子改変動物を用いて研究を進める。これらの研究により、エンドセリン-A/-B 両受容体遮断薬と選択的エンドセリン-A受容体遮断薬の肺高血圧症への薬効の差異の詳細が判明し、実際の患者の治療に貢献することが期待される。モノクロタリン誘発の肺高血圧症および低酸素誘発の肺高血圧症の各種モデル動物を用いて研究を進める予定である。 本研究により、エンドセリン-B受容体およびエンドセリン-A受容体と心血管障害の新しい知見が得られることが期待され、肺高血圧症への薬物治療への新しい知見が得られることが期待される。
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