研究課題
心血管障害でのエンドセリン-B受容体の役割を検討するため、実験動物を用いて本研究を進めた。すなわち、エンドセリン-B受容体は、血管内皮細胞と血管平滑筋細胞に存在する。血管内皮では、エンドセリン-B受容体が刺激されると一酸化窒素(NO)合成酵素の活性が上昇して、NOが放出されて血管弛緩・増殖抑制に働く。一方、血管平滑筋のエンドセリン-B受容体が刺激されると、血管収縮・増殖に働く。また、肺高血圧症は、心肥大を引き起こす。本研究にて、ラット培養心筋細胞を用い、エンドセリンを投与して、エンドセリン-A受容体と -B受容体の両者を刺激して心筋肥大を作成してフルバスタチンを投与したところ、この心肥大抑制作用に peptidyl-prolyl isomerise Pin 1の経路が関与する知見を得た。さらに、ラットのランゲンドルフ還流心標本にエンドセリンを投与して、エンドセリン-A受容体と-B受容体の両者を刺激して冠血管を収縮させた。この冠血管の収縮による心筋虚血の代謝変化に、CGRP(calcitonin gene-related peptide)の投与が有効であることがわかった。さらに今回、エンドセリン-A/-B 両受容体遮断薬 SB209670 および -A受容体遮断薬 TA-0201を用いて、ラットで検討した。肺高血圧症ラットの心臓血管障害と糖尿病ラットの心臓血管障害は 同様の過程をたどる部分もあるため、ラットに糖尿病を作製して検討した。TA-0210 もしくはSB209676 が、4週間投与された。どちらの遮断薬も、糖尿病ラットで低下した心機能(% FS の低下)を、有意に かつ 同じ程度に改善した。糖尿病ラットでの心臓におけるVEGF(vascular endothelial growth factor)の発現低下をどちらの遮断薬も改善し、その改善の程度は SB209670のほうがTA-0210よりも大きく、この差異がエンドセリン-B受容体の遮断に起因することが推察され、エンドセリン-B受容体の遮断は、いろいろな心血管障害に有用であることが示唆された。
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Life Sciences
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