研究課題
基盤研究(C)
クルクミンの抗腫瘍効果に関してはすでに多くの基礎研究で証明されており、現在その臨床応用が期待されている。一方バイオアベイラビリティーが低いことが臨床応用に際して一番の弱点であった。申請者らはバイオアベイラビリティーの向上した細粒化クルクミンのがん患者に対する安全性を調べるために「ゲムシタビンを用いた化学療法に抵抗性となった膵癌、胆道癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法の第I相臨床試験」を計画・実施した 。平成24年度には最終解析を行い細粒化クルクミンが従来のクルクミンと比して有害事象の頻度を上昇させることなく血中クルクミン濃度を有意に上昇させることを確認、その結果を国際学術誌に報告した (Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Mar 30)。クルクミンの標的分子として報告されているNF-kappa BやStat 3の変化をがん組織を用いて確認するためにはクルクミン内服前後の組織検体が必要となるため患者に対する侵襲も大きく非現実的である。そこで申請者らは末梢血で測定可能であるマイクロRNAに着目し、本研究で得られた血液検体を用い網羅的マイクロRNA発現解析を行なった(n = 6)。その結果、基礎研究でがん抑制作用が報告されている複数のマイクロRNAが細粒化クルクミン服用後に末梢血で上昇するという結果が得られている。細粒化クルクミンの治療効果と相関するマイクロRNAが同定されればクルクミン治療のバイオマーカーとなりうる。クルクミンは基礎研究で膵癌のみならず大腸癌や乳癌など他の多くのがん腫に対してもその抗腫瘍効果を発揮することが報告されており、さらには術後補助療法、発がん予防などに対しても応用が期待であることから本研究は学術的にも推進すべき重要な課題と考える。
2: おおむね順調に進展している
ゲムシタビンを用いた化学療法に抵抗性となった膵癌、胆道癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法の第I相臨床試験」を計画・実施した 。平成24年度には最終解析を行い細粒化クルクミンが従来のクルクミンと比して有害事象の頻度を上昇させることなく血中クルクミン濃度を有意に上昇させることを確認、その結果を国際学術誌に報告している。 (Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Mar 30)。この第I相臨床試験で得られた血液検体を用い細粒化クルクミン内服前後のマイクロRNAの変化を940種類のヒトマイクロRNAを搭載しているAgilent human miRNA microarray Rel 14.0 を用いて検討した(n = 6)。その結果、基礎研究でがん抑制作用が報告されている複数のマイクロRNAが細粒化クルクミン服用後に末梢血中で上昇するという結果が得られている。さらに上記第I相臨床試験の結果を受けて「切除不能膵癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法のランダム化第II相臨床試験」を計画、すでに医の倫理委員会の承認を得て、平成25年6月より登録開始予定である。本試験でも細粒化クルクミン服用前後に血液検体を採取し、アレイ解析で残った候補マイクロRNAの変化について検証予定である。
「切除不能膵癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法のランダム化第II相臨床試験」を計画、すでに医の倫理委員会の承認を得て、平成25年6月より登録開始予定である。本試験で得られる細粒化クルクミン服用前後の血液検体を用い、アレイ解析で残った候補マイクロRNAの変化について検証予定である。また関連研究分野の最新情報を入手し、本試験と関係があると考えられる重要なマイクロRNAが報告された場合はそのマイクロRNAの追加解析を行うなどの実験計画の見直しを行う。
miRNA解析費用英文校正費用学会出席費用
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Cancer Chemother Pharmacol
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