研究課題
ウコンに含まれるクルクミンはNF-kappa BやSTAT3の抑制作用を有し、抗腫瘍効果を示すことが多くの基礎研究で証明されており、現在その臨床応用が期待されている。一方バイオアベイラビリティーが低いことが臨床応用に際して一番の弱点であった。我々はバイオアベイラビリティーの向上した細粒化クルクミンのがん患者に対する安全性を調べるために「ゲムシタビンを用いた化学療法に抵抗性となった膵癌、胆道癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法の第I相臨床試験」を計画・実施し(平成24年、25年度)、細粒化クルクミンが従来のクルクミンと比して有害事象の頻度を上昇させることなく血中クルクミン濃度を有意に上昇させること、さらに細粒化クルクミン服用によりEORTC-QLQ C30を用いて評価したQOL が有意に改善することを確認、その成果を国際学術誌に報告した (Kanai et al. Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Jun; 71(6): 1521-30)。また本研究に付随してクルクミン服用前後に得られた血液検体を用いて網羅的miRNA発現解析を行なった。その結果、基礎研究でがん抑制作用が報告されている複数のマイクロRNAが細粒化クルクミン服用後に末梢血で上昇するという結果が得られている。さらにin vitroの実験で細粒化クルクミンは従来のクルクミンと比してより低濃度で抗腫瘍効果を発揮すること、また細粒化クルクミン刺激によりがんの進行との関係が報告されている複数のmiRNAの発現が変化することを確認している (unpublished data)。以上の結果を受けて「切除不能膵癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法のランダム化第II相臨床試験」を計画、医の倫理委員会の承認を得て、平成25年9月より登録開始を行っている。本試験でも細粒化クルクミン服用前後に血液検体を採取し、クルクミン治療のバイオマーカーとなりうるmiRNAについて探索、同定を目指す。
2: おおむね順調に進展している
クルクミンのバイオマーカーとなりうる複数のmiRNA が同定されており、現在進行中の臨床試験で得られた検体を用いて懸賞予定である。
先述のように平成25年9月より多施設共同で「切除不能膵癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法のランダム化第II相臨床試験」を実施している。本試験で得られる細粒化クルクミン服用前後の血液検体を用い、これまでに行った研究でクルクミンのバイオマーカー候補として残ったmiRNAの変化について解析予定である。。また関連研究分野の最新情報を入手し、本試験と関係があると考えられる重要なmiRNAが報告された場合はそのマイクロRNAの追加解析を行うなどの実験計画の見直しを行う。
平成25年9月より多施設共同で「切除不能膵癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法のランダム化第II相臨床試験」を実施しているが、現在症例登録中である。臨床データと検体が揃った時点で解析を行う。上記臨床試験で得られる細粒化クルクミン服用前後の血液検体を用い、これまでに行った研究でクルクミンのバイオマーカー候補として残ったmiRNAの変化について解析予定である。
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