研究課題/領域番号 |
24590656
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石黒 洋 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20422925)
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研究分担者 |
戸井 雅和 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10207516)
手良向 聡 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20359798)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 臨床薬理学 / 抗悪性腫瘍薬 |
研究概要 |
本応募研究課題として施行してるバイオマーカー探索研究は、高度医療として実施しているエストロゲン受容体陽性HER2 陰性乳癌症例を対象とし標準的内分泌療法に経口抗がん薬S-1を標準的承認用量で併用する多施設共同臨床試験(以下、主試験と称します)に登録された症例における付随する研究として施行しています。平成25年4月22日の時点で、主試験に参加する施設中の約50施設よりバイオマーカー探索研究への参加表明を頂いています。現時点ではその内の6施設のみがバイオマーカー探索研究における倫理委員会承認が得られており症例登録可能となっており、これまでに8例の患者が登録されています。 薬物血中濃度などの測定は、バイオマーカー探索研究の分担研究者である同志社女子大学薬学部の阿南節子教授並びに同非常勤講師である大阪バイオサイエンス研究所の丸山敏彦先生の協力を得て施行することになっており、既にアッセイのバリデーションなどは行っています。 全国の100施設以上が参加する予定の多施設共同研究ですので、滞り無く運営していくために事務局およびデータセンターの整備を行ってきましたが、現時点で大きな問題なく機能しています。 "How to dose cytotoxic chemotherapeutic drugs"と"Pharmacokinetics and pharmacogenomics of selective estrogen receptor modulators in breast cancer patients."の2つの臨床薬理学に関連する論文を執筆し、特に前者の論文ではバイオマーカー探索研究として施行中であるS-1に関して参考資料とするべく最近の知見をまとめました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本応募研究課題として施行するバイオマーカー探索研究は、主試験に登録された症例におけるバイオマーカー探索研究として施行しています。主試験の実施には、各参加施設において高度医療通知に基づき高度医療実施について厚生労働省医政局からの許可が必要となりますが、予定よりも厚生労働省からの許可に時間がかかり、主試験に参加可能となったのはようやく100施設を超えたところです。平成25年4月22日時点で、主試験に参加する施設中約50施設よりバイオマーカー探索研究への参加表明を頂いていますが、主試験での厚生労働省からの許可と主試験の各参加施設における倫理委員会承認だけでなく、バイオマーカー探索研究に関しても各施設における倫理委員会承認が必要となっています。このような現状から現時点でにバイオマーカー探索研究登録可能な施設は6施設に留まっています。
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今後の研究の推進方策 |
100を超える施設からバイオマーカー探索研究への参加表明の意思を得るために、今迄以上に様々な活動(雑誌や講演会を通じての案内、対面での協力依頼を含めて)を行っていきます。バイオマーカー探索研究参加施設メーリングリストを作成し、他の施設の倫理委員会承認や症例登録状況などが一見して分かるマンスリー・レポートを作成・配布を始めます。また各施設における倫理委員会申請への補助も積極的に行っていきます。さらに、Japan Breast Cancer Research Groupで行ってきた多施設共同臨床試験「アンスラサイクリン系薬剤かつ、タキサン系薬剤の治療歴を有する再発・転移性乳癌に対するCPT-11/S-1併用療法の第I/II相臨床試験」におけるS-1の臨床薬理学・薬力学的解析の結果を公表することで、S-1という共通した薬剤を用いた主試験およびバイオマーカー探索研究に対するモチベーション向上につなげていきます。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の登録症例は8例のみであったため、アッセイのバリデーションを除き薬物血中濃度などの測定は施行しませんでした。平成25年度にはバイオマーカー探索研究の倫理委員会承認済施設が順次増えてくることが想定されるため、計画通り薬物血中濃度測定を施行し約100 例のS-1 及びその代謝物の薬物動態解析が終了した時点で、S-1 代謝薬物薬物動態 と有害事象の関係や、その発現に薬理ゲノム学または胃の酸性度が及ぼす影響を解析します。この結果を用いてS-1 の生物学的至適血中濃度(用量) 開発に有用な初回投与時における薬物動態・薬力学予測アルゴリズムと低曝露症例に対する増量アルゴリズムを作成する予定です。
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