研究課題
基盤研究(C)
High mobility group box1(HMGB1)は、壊死細胞核から細胞外へ放出される新規サイトカイン分子である。申請者は、HMGB1を標的とする抗体医薬を発想し、すでにラット中大脳動脈2時間閉塞・再灌流モデルを用いて、抗HMGB1単クローン抗体の劇的な脳梗塞の改善、脳浮腫の抑制作用を明らかにしてきた。本研究では霊長類動物モデルを用いて、抗HMGB1単クローン抗体の評価を行い、優れた効果と特性を有する抗体医薬を臨床応用できることが強く期待される。霊長類動物、日本サルの脳虚血再灌流モデルを作製した。対照群動物モデルの脳内でHMGB1抗原の局在変化を調べた。移動型血管造影装置(digital subtraction angiography, DSA)を用いて、確認しながら腹大動脈から下行大動脈経由し、内頚動脈にアプローチした。DSA装置で確認しながらバルーン付きマイクロワイヤーを中大脳動脈領域まで留置し、2時間血流遮断・再灌流した。脳組織の免疫染色の結果により、モデル動物の脳の非障害側においてHMGB1抗原は神経細胞とグリア細胞の核内に多く局在していることが、共焦点レーザー顕微鏡観察で明らかにされた。中大脳動脈閉塞・再灌流障害によって、虚血領域の神経細胞の核内に局在したHMGB1は核膜部位に集積後、細胞質へ移行した像が観察された。霊長類動物、コモンマーモセット脳梗塞モデルの作製は脳血管の解剖学的にカーブしていることで塞栓子の挿入が出来なく、失敗した。有している3種類の単クローン抗体の抗原親和性を測定した。その結果、1種類の高親和性抗体と判定された。
3: やや遅れている
本研究ではヒト臨床へ応用するための前臨床研究として、扱いやすい小型の霊長類動物のマーモセットを使用した。コストを減らすため、繁殖しながら実験を進めていくことが考えた。マーモセットの繁殖は岡山大学動物施設にて、初めてので、半年以上繁殖が出来なく、実験をしなかった。霊長類動物マーモセットと哺乳類動物ラットの脳血管の解剖学的な違いで、脳梗塞モデル作成および評価方法など、実験系を確立する時間がかかった。
マーモセットの繁殖について、他の経験がある大学を指導してくれ、繁殖を成功した。マーモセットの脳血管の特性を考えて、塞栓子を改良する。来年度、遅れた研究内容を含め、研究を進めていく。
1.脳梗塞の動物モデルが引き続き用いられる。霊長類動物の持続購入が必要である2.遺伝子組み換え実験に必要なPCR装置や、細胞培養に関わる試薬、消耗品代3.共同研究施設の高精度蛍光顕微鏡の使用料金4.PETの動物実験に施設及びPET/CTの使用料金5.種々の長さのペプチドを受託合成の費用6.研究補助員の謝金
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