研究課題/領域番号 |
24590659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
猪川 和朗 広島大学, その他の研究科, 准教授 (40363048)
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研究分担者 |
森川 則文 広島大学, その他の研究科, 教授 (30346481)
池田 佳代 広島大学, その他の研究科, 助教 (30379911)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 臨床 / 感染症 |
研究概要 |
抗菌薬・抗真菌薬の併用投与時における標的臓器(感染組織体液)での薬物動態(PK)モデル解析と微生物学的な薬力学(PD)の評価に基づいて,とりわけ多剤耐性菌に対する併用療法を最適化することを目的とする本研究では,平成24年度に下記のとおり実施した。 臨床サンプルの採取・搬送システムの完備: 研究協力施設において,広島大学大学院医歯薬保健学研究院臨床薬物治療学(当研究室)との協力連携の整備を進め,各種の臨床サンプルを採取し,安全・確実に搬送できるシステムを構築した。 気管支鏡下マイクロサンプリング法などによる経時連続的な間質液の採取: 研究協力施設において,気管支鏡下マイクロサンプリング法による肺胞上皮被覆液を経時連続的にモニターした。 各種の抗菌薬の感染組織体液中・血中濃度測定システムの完備: 抗菌薬(カルバペネム系,キノロン系等)および抗真菌薬(アゾール系,ポリエン系等)などの薬物濃度測定を,感染組織体液に適した前処理や定量方法に修正・完備した。 病原微生物株を用いた併用in vitro効果の静的・動的なPDデータの収集: 患者の各種材料から病原微生物(多剤耐性緑膿菌も含まれる)を分離し,独自に作成した「2剤または3剤抗菌薬添加の最小発育阻止濃度(MIC)測定プレート」を用いて,単剤,2剤,3剤存在下でのMIC値の変化を計測した。その値にもとづいてfractional inhibitory concentration indexを算出し,併用効果を相乗/相加/不関/拮抗に分類して評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床サンプルの採取・搬送システムに関しては,研究協力施設において,当研究室との協力連携の整備を進め,各種の臨床サンプルを採取し,安全・確実に搬送できるシステムを構築した。経時連続的な間質液の採取に関しては,研究協力施設において,気管支鏡下マイクロサンプリング法による肺胞上皮被覆液を経時連続的にモニターした。感染組織体液中・血中濃度測定システムに関しては,カルバペネム系,キノロン系等抗菌薬およびアゾール系,ポリエン系等抗真菌薬などの濃度測定を,感染組織体液に適した前処理や定量方法に修正・完備した。病原微生物株を用いた併用in vitro効果の静的・動的なPDデータの収集に関しては,患者の各種材料から病原微生物を分離し,独自に作成したプレートを用いて,単剤,2剤,3剤存在下でのMIC値の変化を計測した。その値にもとづいて併用効果を評価した。以上のとおり,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は「薬物併用投与時のPK(標的臓器モデルを用いた臓器別薬物濃度の統合化)-PD(併用in vitro効果および併用臨床効果の定量化)」解析によって,PK-PDをモデル数式化する。まず,各薬物の臓器別濃度の生理学的な標的臓器PKモデルによる解析として,薬物ごとで組織体液中濃度および血中濃度の同時あてはめ解析により,適切な標的臓器モデルを構築する。次に,in vitroデータの感染臓器別PK-PDモデリングによる併用投与抗菌効果予測として,薬物ごとの標的臓器PKモデルに併用in vitro効果データを組み込んだ後,臓器ごとに線形加算することで,併用時における感染臓器での抗菌効果を予測する。さらに,臨床データの感染臓器別PK-PDモデリングによる併用投与臨床効果予測として,併用投与時における感染臓器での予測抗菌効果に対して,実測の有効性データを用いたベイズ推定を行うことにより,PK-PD関係式およびそのパラメータ値を修正する。以上のとおり,今後の研究を推進する方策である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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