研究課題/領域番号 |
24590659
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
猪川 和朗 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (40363048)
|
研究分担者 |
森川 則文 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (30346481)
池田 佳代 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (30379911)
|
キーワード | 臨床 / 感染症 |
研究概要 |
抗菌薬・抗真菌薬の併用投与時における標的臓器(感染組織体液)での薬物動態(PK)モデル解析と微生物学的な薬力学(PD)の評価に基づいて,とりわけ多剤耐性菌に対する併用療法を最適化することを目的とする本研究では,平成25年度に下記のとおり実施した。 各薬物の臓器別濃度の生理学的な標的臓器PKモデルによる解析: 薬物ごとで組織体液中濃度および血中濃度の同時あてはめ解析により,基礎モデルの決定(臓器容積,血流量など文献報告値の収集・検討),母集団解析法の決定(standard two stage法,nonlinear mixed effect model法など),共変量モデルの構築(年齢,体重,肝・腎機能など),モデルバリデーション(visual predictive check法など)を行って,適切な標的臓器モデルの構築に取り組んだ。 In vitroデータの感染臓器別PK-PDモデリングによる併用投与抗菌効果予測: 薬物ごとの標的臓器PKモデルに併用in vitro効果データを組み込んだ後,臓器ごとに線形加算することで,併用時における感染臓器での抗菌効果予測に取り組んだ。各薬物の標的臓器PKモデルに基づくことで,PK-PDパラメータ(maximum concentration/minimum inhibitory concentration,time above minimum inhibitory concentration,time to eradicationなど)を算出し,in vitro試験でのMIC測定データまたはkilling-time曲線データを代入することで,併用投与時のPK-PDパラメータ値を算出し,各臓器でのPK-PDパラメータ値の総和を求め,感染臓器別での併用投与抗菌効果予測に取り組んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各薬物の臓器別濃度の生理学的な標的臓器PKモデルによる解析に関しては,薬物ごとで組織体液中濃度および血中濃度の同時あてはめ解析により,基礎モデルの決定,母集団解析法の決定,共変量モデルの構築,モデルバリデーションを行って,適切な標的臓器モデルの構築に取り組んだ。In vitroデータの感染臓器別PK-PDモデリングによる併用投与抗菌効果予測に関しては,薬物ごとの標的臓器PKモデルに併用in vitro効果データを組み込んだ後,臓器ごとに線形加算することで,併用時における感染臓器での抗菌効果予測に取り組んだ。各薬物の標的臓器PKモデルに基づくことで,PK-PDパラメータを算出し,in vitro試験データを代入することで,併用投与時のPK-PDパラメータ値を算出し,各臓器でのPK-PDパラメータ値の総和を求め,感染臓器別での併用投与抗菌効果予測に取り組んだ。以上のとおり,おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はまず,併用投与時における感染臓器での予測抗菌効果に対して,実測の有効性データ(菌量,β-Dグルカン量,体温,白血球,C反応性タンパク,プロカルシトニンなどの変化率)を用いたベイズ推定を行うことにより,PK-PD関係式およびそのパラメータ値を修正する。次に,構築した感染臓器別PK-PD関係式に基づいて個別的で至適な併用投与法を設計し,その妥当性をプロスペクティブに検証する。具体的には,感染臓器別PK-PD関係式に基づき,患者特性や原因菌薬剤感受性等の情報から最適な併用投与法を設計するソフトウェアを開発する。そして,抗菌薬併用投与設計ソフトウェアを各協力施設に配布し,感染症患者に対してプロスペクティブに適用する。その併用投与法での有効性データをフィードバックすることによりPK-PD関係式を修正し,より妥当性のある抗菌薬併用療法の個別化・至適化を図る。以上のとおり,今後の研究を推進する方策である。
|