研究課題
抗菌薬・抗真菌薬の併用投与時における標的臓器(感染組織体液)での薬物動態(PK)モデル解析と微生物学的な薬力学(PD)の評価に基づいて,とりわけ多剤耐性菌に対する併用療法を最適化することを目的とする本研究では,平成26年度に下記のとおり実施した。各種薬物の感染組織体液中・血中濃度データ: 抗菌薬および抗真菌薬などの薬物濃度測定を,感染組織体液に適した前処理や定量方法にさらに改良したうえで,臨床検体中濃度を測定した。病原微生物株を用いた併用in vitro効果の静的・動的なPDデータ: 臨床検体から緑膿菌などの各種病原微生物を分離し,独自に作成した「2剤または3剤抗菌薬添加のチェッカーボードプレート」を用いて,単剤,2剤,3剤存在下でのminimum inhibitory concentration値の変化を計測した。その値にもとづいてfractional inhibitory concentration indexを算出し,併用効果を相乗/相加/不関/拮抗に分類・評価した。PK-PDモデリング&シミュレーション: 各種薬物の感染組織体液中・血中濃度データをPK解析し,PDデータを組み込んだ統合モデルを構築した。このモデルを用いたモンテカルロ法ランダムシミュレーションに基づき,感染治療の最適化について検討した。例えばコリスチンの場合,薬剤耐性緑膿菌感染症患者に対しては2.5 mg/kgを1日2回投与すること,さらにリファンピシンを併用投与することにより,高い有効率が得られることが明らかとなった。最適投与法設計支援ツール: 上記と並行して,患者特性や原因菌薬剤感受性などから,最適投与法の設計を支援するツールの構築手法について検討した。例えば抗MRSA薬や抗真菌薬に関してのツール作成技術を開発し,感染症患者に対してプロスペクティブに臨床適用し,医療現場からのフィードバックを得ることができた。
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