研究課題
本研究の目的は、白血病メカニズムをスフィンゴ脂質(SL)代謝物プロファイルに着目して分子レベルで解明し、得られた新規バイオマーカーを白血病の診断・治療的介入に応用することにある。申請者は、質量分析装置(MS)を駆使したリピドミクスにより患者の血液試料のSLプロファイルを求め、分子生物学的知見と組み合わせることにより白血病治療への貢献を目指した。H26年度はCeramideおよびS1PのLCMS定量項目に加えて、新たなスフィンゴ脂質(SL)代謝物バイオマーカー候補としてグルコシルセラミドの新規測定系を開発した。また、SLバイオマーカーを用いて、SL 代謝物プロファイルが各種抗がん剤抵抗性の制御により変化すること明らかとした(J Cell Biochem 2015, doi: 10.1002/jcb.25173., J Biochem 2015, in press)。抗がん剤に対するIC50の高いがん細胞ではCer産生が低く、抗がん剤による細胞死に抵抗性を示し、IC50の低いがん細胞では、抗がん剤処理によりCer産生が上昇しS1Pは減少し、Cer産生とS1P量の変化(SL rheostat モデル)の有用性を報告した。さらに今回開発したLC-MS法を応用し皮膚モデル細胞においてアシル鎖毎にCerを分離同定し、アトピー性皮膚炎では長鎖脂肪酸Cer産生が亢進することも明らかにした(J Invest Dermatol. 134, 712-8 (2014))。従って、我々の新規SLバイオマーカーの有用性が臨床に応用できる可能性が示唆された。
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J Biochem
巻: 157 ページ: 印刷中
J Cell Biochem
巻: 116 ページ: 印刷中
10.1002/jcb.25173.
J Invest Dermatol
巻: 134 ページ: 712-718
10.1038/jid.2013.364.