研究課題
神経変疾患患者の不要となった歯髄からiPS細胞を作製している。疾患によっては初期化抵抗性を示し、iPS細胞ができにくいものもあった。幸い、京都大学iPS細胞研究所の技術支援も受け、血液の血球細胞からもiPS細胞の作製も行っている。当初、歯髄細胞からiPS細胞から各種神経細胞に分化させ、治療薬として活用することを想定したが、採取した歯髄細胞に歯髄幹細胞が存在し、各種神経細胞に分化することが、細胞マーカーによって証明された。マウスの脊髄損傷の治療にヒト歯髄細胞が有効であることが報告されている。幸い我々の施設に筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデル犬がおり、脊損モデル犬、ALSモデル犬に犬歯髄細胞の移植を考え、犬歯髄細胞投与の動物実験の申請中である。メタロチオネイン(MT)のアイソフォーム(I/II, III)について、ALS患者のヒト脊髄とコントロール患者の脊髄における量をドットブロット法によって検査したが、検出方法の問題、検体数の不足もあって、有意差が出るまでには至っていない。一方、MTと同じ亜鉛トランスポーターのZnTファミリーについて検索したところ、ZnT3とZnT6がALS群の脊髄において有意に低下していた。また、ZnTの脊髄における局在を解析すると、運動神経を含む神経細胞に選択的に発現していることが明らかとなった。さらに、ALSモデルマウスの脊髄において、ZnT3とZnT6のタンパク質量に変化は認められず、ALSにおけるZnT3とZnT6の減少は、単に神経脱落によるものではなく、ALSの発症・病態の進行に関与している可能性が示唆された。この研究成果は英文誌J. Neurological Res (2015)に発表した。MT-III結合タンパク質についても3つが同定され、その解析も終了し、英文誌に論文投稿を準備中である。
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J Neurosci Res
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http://www.gifu-pu.ac.jp/lab/yakuchi/Med_Mol_Therp/Home.html