研究課題/領域番号 |
24590665
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
内山 和彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50298428)
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研究分担者 |
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00305575)
高木 智久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70405257)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アザチオプリン / 6-TGN / SLC38A9 / genetic biomarker |
研究概要 |
炎症性腸疾患の治療において、免疫調節剤による病勢コントロールは非常に重要な役割を担っている。しかし、その有効性と安全性には薬剤代謝酵素の遺伝子発現による個人差があるのも事実である。本研究では、当院におけるazathioprine(AZA)の使用経験、およびその代謝産物である血中6-TGN濃度測定結果を元に、AZAの有用性と安全性を予測するgenetic biomarkerを同定し、さらにその機能解析をおこなうことを目的とする。 現在当院に通院加療中の潰瘍性大腸炎患者191名、およびクローン病患者47名の中で病勢コントロール目的にアザチオプリンを投与されている患者を対象とし、本研究に検体を供与することに同意を得た34名を対象とし、血液検体を採取した。なお、本研究はUMIN 000010197に登録され、本学倫理審査委員会で承認されている。 薬剤応答遺伝子発現の解析としてHapMap由来ヒトリンパ球細胞を用いてAZAと5-ASA併用時のmRNA遺伝子発現の変化をGeneChipにて網羅的に解析し、薬物応答性に関連する遺伝子を絞り込んだ。さらにこのHapMap細胞を用いたEG(エクスプレス・ジェノタイピング)法でのallele毎の遺伝子発現解析をもとに、IBD患者から採取した血液検体による血中6-TGN濃度による層別化をおこなった結果、SLC38A9の遺伝子多型が血中6-TGN濃度にもっとも相関する結果を得た。 本年度のIBD患者検体を用いた検討では、AZA投与量と6-TGN値の間に相関を認めず、SLC38A9の遺伝子多型が6-TGNの血中濃度に影響を及ぼしていることがわかり、SLC38A9がAZAの薬剤代謝における新たなgenetic biomarkerであることが示唆される結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度中にSLC38A9がアザチオプリン投与時における血中6-TGN濃度のgenetic biomarkerになることは、IBD患者の臨床検体を用いることで証明ができた。 今後、トランスポーターの一種であるSLC38A9の機能解析を動物実験および細胞実験にて検証していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
SLC38A9はトランスポーターの一種であり、アザチオプリンの薬物代謝あるいは炎症性腸疾患の病態に直接関与している可能性があり、マウスを用いた動物実験および、リンパ球を用いた細胞実験でその役割を検証していく。すでにSLC38A9 overexpression vectorは作成済であり、今後さらに機能解析を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験用マウス、細胞実験を行う際の培地などの消耗品に用いる。
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