研究課題/領域番号 |
24590666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
安藤 仁 自治医科大学, 医学部, 准教授 (50382875)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 臨床薬理学 / 時間治療 |
研究概要 |
肝や脂肪組織などの末梢体内時計は、細胞内においてAMPキナーゼやPGC-1αなどの代謝関連鍵分子と相互に発現を制御しながら、代謝の恒常性を維持している。近年、末梢時計障害は2型糖尿病を初めとする生活習慣病の一因であることが判明した。そこで本研究では、それらの代謝関連鍵分子を標的とする2型糖尿病治療薬を用い、末梢時計障害を改善することにより効果的に代謝異常を治療する投与方法を動物モデルにおいて開発し、さらに、その治療法の有用性を患者を対象とした臨床試験により検証することを目的とする。 初年度である平成24年度は、まず、正常マウスを用いて末梢時計制御薬の探索を行ったところ、AMPキナーゼ・PGC-1α経路に作用する治療薬であるメトホルミンおよびGLP-1アナログが末梢(肝・脂肪組織)時計に影響することを見出した。末梢時計の時刻は摂食の影響を強く受けることが知られており、GLP-1も主に摂食時に分泌されるホルモンであることから、次に、GLP-1アナログと摂食の末梢時計への影響の差異を検討した。その結果、GLP-1アナログは摂食とは異なる様式により末梢時計へ作用し、その作用の強さは摂食と同等以上であることが判明した。 今後は、末梢時計の時刻からみたGLP-1アナログの至適投与時刻を明らかにし、病態モデルでの検討へと進む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は初めから病態モデルを使用して研究を実施する予定であったが、まず、正常モデルでのスクリーニングと解析を詳細に実施したため、計画がやや遅れている。しかし、その反面、本研究の最終目的である2型糖尿病の時間治療の開発のための基礎的な情報が当初の計画以上に蓄積できており、研究期間全体から判断した場合にはおおむね順調に研究が進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
ひき続き、正常モデルを用い、末梢時計の時刻から見たGLP-1アナログの至適投与時刻を明らかにするとともに、メトホルミンの末梢時計への影響も検討する。さらに、病態モデル(ob/obマウス)を用い、それらの薬物を至適投与時刻、またはその逆の時刻に投与し、末梢時計および代謝への影響を比較することにより、時間治療の有用性を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会参加費(国内2回)に20万円、論文校正・投稿料に5万円を計上する以外は、すべて消耗品費(動物購入代、試薬代)の予定である。
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