研究課題
本研究は私たちが新規構築した心臓拡大モデル動物に発生する心房細動の特徴およびその維持機構の解明を通じ、心房細動、特に慢性心房細動に対する薬物治療戦略に向けた基盤構築を行うことを目的としている。心房への伸展刺激は心房組織に様々な変化を生じさせ、心房細動の発生や維持に関与すると考えられているため、心房に対して慢性的な容量負荷を与えるモデル動物を作製し、心臓の形態的変化、電気生理学的変化および心房細動の持続性について検討してきた。本年度の研究ではアルドステロンが心房細動に与える影響を調べた。容量負荷を与えていないラットにアルドステロンを4週間投与したところ、バースト刺激で誘発される心房細動の持続時間は2倍に延長した。一方で、ラットに対して慢性容量負荷とアルドステロン持続投与を同時に行ったところ、心房細動の持続時間は7倍に延長した。興味深いことに、心房不整脈が自然発生する個体も見出されている。心房の有効不応期や心房伝導時間を反映するP波持続時間は、容量負荷のみのラットと容量負荷にアルドステロンを投与したラットの間で有意な差は認められていない。以上より、慢性容量負荷の存在下におけるアルドステロンの心臓作用は催不整脈的であり、アルドステロンが心房に与える組織学的あるいは電気生理学的な作用に加えて、現時点で明らかにされていない何らかの要因が心房細動の持続性に寄与すると考えられた。
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