研究課題/領域番号 |
24590671
|
研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
大野 雅子 兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (50467528)
|
キーワード | ファーマコゲノミクス / 炎症性腸疾患 / アザチオプリン |
研究概要 |
アザチオプリン(AZA)は、難治性疾患である炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)に対して適応を有する免疫抑制剤であり、治療上重要な位置を占めている。しかしAZA療法の問題点として、骨髄抑制などの重篤な副作用がみられること、副作用・有効性発言に個人差があること、小児での安全性が十分には確立されていないことが挙げられる。本研究の目的は、薬物動態関連分子の機能的解析により、炎症性腸疾患薬AZAの反応性に関わるファーマコジェネティック・バイオマーカーを探索し、さらにその活用法を提案すること、および臨床研究マインドをもつ薬剤師の育成に向けた教育プログラムを創出することである。 平成25年度は、前年度から引き続き臨床研究の参加施設との調整を行うとともに、臨床データの収集に注力した。また、AZAの薬物動態関連分子の遺伝子多型のうち、解析系の立ち上がったものについて、薬効および副作用との予備的な相関解析を開始した。一方、臨床研究教育については、実践的な複数の臨床研究を活用して学生の臨床研究マインドの育成を試みるとともに、薬学生に対するプログラムの一部にWEB公開講座を活用した逆転授業的セミナーを導入して一定の成果を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の兵庫医療大学ヒトゲノム研究倫理審査委員会での研究認可手続きの遅れが影響して、資料収集等を含め研究全体の進捗が遅れているため。
|
今後の研究の推進方策 |
【平成26年度】臨床疫学研究では、平成25年度に継続して臨床成績を収集する。(臨床データ収集やモニタリングについては、適宜、研究実施医療機関への研究協力者等の出張等の対応をとる。)HPLCにて測定した血中6TGN濃度が有効性の指標となりうるか検討する。また、候補分子の遺伝子解析を行う。蓄積した臨床データと遺伝子多型等との関連性について探索的検討を行い、副作用・有効性発現の個人差を予測しうる因子を抽出する。抽出したPGマーカーと臨床データを統合し、ベイジアンアルゴリズムに基づき個別化適正投与のためのプロトタイプを導出し、その活用法を提案する。さらに提案した活用法の具現化を目指した新たな研究計画を立案する。 臨床研究教育については、引き続き教育演習環境を整えるとともに、学生の研究マインドを育むため、実践的臨床研究(NCT00298870等)を用いて新たな解析や研究計画の立案に挑ませる。また本研究に携わった薬学部5,6年生の理解・習熟度評価に基づき、臨床(疫学)研究および薬効評価に関する基礎的な教育プログラムを立案する。 連携研究者:東純一、研究協力者:宮下善充、門田弓、稲岡涼、田尻仁、他。
|
次年度の研究費の使用計画 |
臨床研究の認可の遅れが影響し、遺伝子解析等その後の研究計画に計上した費用が未使用となったため、次年度使用額が生じた。 平成26年度の研究に必要な物品の購入、調査や研究成果発表のための旅費などの費用に使用する予定である。
|