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2012 年度 実施状況報告書

組織リモデリングの増悪化分子としての内因性AGEの病態生理と根治的治療への展開

研究課題

研究課題/領域番号 24590672
研究種目

基盤研究(C)

研究機関就実大学

研究代表者

森 秀治  就実大学, 薬学部, 教授 (50220009)

研究分担者 五味田 裕  就実大学, 薬学部, 教授 (00088709)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード組織リモデリング
研究概要

糖化反応の最終産物は終末糖化産物(AGEs)と称され,加齢や糖尿病に伴って生体内で加速度的にAGEsの蓄積が進行していく。この不必要な翻訳後修飾反応とも言える糖化反応(AGEs化反応)によって,酵素などの機能分子の活性低下が生じるとともに,AGEs化は炎症・免疫系を非特異的・慢性的に刺激し,生活習慣病の共通基盤である組織リモデリング病態の形成を亢進させてしまう。炎症や創傷治癒などの組織再生プロセスは,様々な生理活性因子によって引き起こされる極めて精巧な生命活動であるが,その破綻は連鎖的な組織リモデリング(病的な組織構造と機能障害)を引き起こし,重篤な難治性病態(脳梗塞や動脈硬化など)を惹起する。従って,AGEs等の組織リモデリングに関わる因子群を同定して制御法を考案する事は,AGEs化がもたらす様々な疾病の未然防止や新規治療法を創成する上で極めて重要な課題といえる。しかしながら,AGEs分子内の炎症惹起成分,病巣局所での存在様式,相互作用分子の有無等については,現時点で全く不明である。この様な背景の下,本年度はAGEsを特異リガンドにしたアフィニティ担体を新たに調製し,質量分析と組み合わせたプロテオミクス解析に適用し,AGEsをコアにした機能的クラスター構成分子の同定を目指して研究を行った。その結果,AGEs分子に特異的親和性を示す生体因子の存在が明らかとなり,本因子はAGEs-AGEs受容体間の結合を濃度依存的に抑制することも明らかとなり,AGEsと機能的クラスターを形成している可能性が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで組織リモデリングの増悪化に働くAGEs分子の病巣局所での存在様式については,ほとんど明らかにされていなかった。本研究において,AGEsを特異リガンドに用いた親和性クロマトを実施することによって,AGEsと結合しAGEs機能に影響を及ぼす可能性を持った生体因子を新たに見出すことに成功した。この知見によって,AGEsがコアとなって病巣局所で機能性クラスターを形成している可能性を現実的に考えることが可能となり,機能性クラスター構成する因子間の相互作用に基づく機能制御の実体を詳細に検討する道が開けた。このことより,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

AGEs分子をコアにした機能性クラスターの形成プロセスが,組織リモデリング病態の発症・増悪化にどのように関与しているかを明確にし,創薬標的分子の創成の糸口を見出すために機能解析研究を遂行する。具体的には,免疫担当細胞を用いた評価系を中心に,AGEs単独とクラスター形成因子共存下での炎症性シグナル変化の差異(NF-κB活性化,キノーム解析,炎症性サイトカイン産生,ROS産生など)を明確にし,クラスター形成によるAGEs機能における病態生理学的意義について検討すると共に,得られた知見に基づいて創薬標的化の可能性を探っていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

本年度の研究費はおおむね計画的に使用されたが,利息や値引などによって若干の残額があった。これは次年度の研究費と合わせて,次年度の主研究課題となるAGEsの機能的クラスターの機能制御研究のために,主として薬品類,抗体類,実験動物,研究発表などに使用していく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Anti-high mobility group box-1 antibody therapy for traumatic brain injury2012

    • 著者名/発表者名
      Okuma Y
    • 雑誌名

      Annal Neurol

      巻: 72 ページ: 373-384

    • DOI

      10.1002/ana.23602

    • 査読あり
  • [学会発表] HMGB1,AGEs-RAGE系」に対する創薬プラットフォーム構築

    • 著者名/発表者名
      森 秀治
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡市)
  • [学会発表] 非炎症性物質の長期曝露に伴うマクロファージの炎症応答変化

    • 著者名/発表者名
      豊村隆男
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡市)

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公開日: 2014-07-24  

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