内因性の終末糖化産物(AGEs)が関与する疾患を探索し,その病態生理学的意義の解明ならびに治療法開発を目的として,AGEs結合因子の探索を行った。その結果,これまでの研究でAGEsを特異リガンドに用いた親和性クロマト実験によって,分子量70kDaのAGEs結合因子を肺臓抽出液から単離・同定することに成功した。また,AGEs-AGEs受容体結合評価系実験から,本因子がN末端領域を介してAGEsと炎症性機能クラスターを形成していることも明らかにしている。 最終年度に実施した研究では,本結合因子の最小活性単位の解明に取り組み,様々な組み合わせの合成ペプチドを用いた実験から,N末端領域に独立して2ヶ所の結合干渉ペプチド部分が存在していることが明らかとなった。これらの知見は,内因性AGEsが病巣局所では単独ではなく,何らかの機能的複合体を形成して存在していることを示唆しており,複合体形成因子による機能制御の可能性の道を拓くものである。
|