研究概要 |
Acinetobacter属に関する詳細は不明な点が多く、特に正確な菌種レベルでのAcinetobacter属の同定は、その菌種間での生化学的性状が非常に類似していることから困難であり一般的には行なわれていなかった。 H24年度は遺伝子解析技術を用いて、Acinetobacter属の菌種レベルにおける同定を行なった。対象とした菌株は東北大学病院で血液培養から分離されたAcinetobacter属50株とした。正確な菌種レベルでの同定にはrpo B遺伝子の特定領域(zone1, zone2, rplL-rpoB, rpoB-rpoC)をシークエンス解析することにより行なった。 結果としてはAcinetobacter soli(28%)の分離頻度が最も多く、次いでAcinetobacter nosocomialis(24%), Acinetobacter baumannii(20%), Acinetobacter ursingii(16%), Acinetobacter pittii(6%), Acinetobacter close to 13TU(2%), Acinetobacter gromontii(2%), Acinetobacter guillouniae(2%)という結果であった。 一般的にはA. baumanniiの分離頻度が多いと報告されているが、本研究結果ではA. baumannii以外のAcinetobacter属が最も多く分離された。Acinetobacter属は菌種によってその生命予後が異なる可能性が指摘されている。本研究結果により、菌種レベルでの正確な同定は疫学上も重要であることが示唆された。
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