研究課題/領域番号 |
24590677
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
一迫 玲 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30184625)
|
研究分担者 |
石澤 賢一 東北大学, 大学病院, 特任教授 (00359506)
福原 規子 東北大学, 大学病院, 助教 (10534167)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 悪性リンパ腫 |
研究概要 |
悪性リンパ腫の臨床情報の収集及びデータベースの入力を行うにあたり、臨床像把握に必要な項目が予想以上に多いことが明らかとなり、既存のプログラムをより大規模かつ入力作業の煩雑さを改善したソフトウエア開発・制作する必要があった。新規プログラムでは既存の病理像を中心としたデータに臨床像の入力作業を進めた。各病院の倫理委員会での承認等の手続きを終了し、臨床情報の調査票の回収を進めた。 成熟NK/T細胞腫瘍の臨床病理学的解析として、節外性NK/T細胞リンパ腫ではまず鼻型例について解析を行った。発症年齢中央値66才であったが、発症年齢分布では30代を中心とした若年者と60-70才代を中心とした二群に分かれることが明らかとなり、若年群では全体の臨床病理学的特徴と概ね同等であるにも関わらず治療抵抗例・再燃例が多く、L-asparaginase療法による寛解導入と同種移植の有用性とEBV-DNA定量が予後が相関することを第74回日本血液学会学術集会にて報告した。 免疫不全関連リンパ増殖性疾患については、病理学的解析と免疫不全に関連したMTX以外の各種薬剤についても臨床情報収集を行い、次年度も継続予定である。EBV関連NK/T細胞リンパ腫及び免疫不全関連リンパ腫におけるEBウイルスの関与について、血球及び血漿に分離したEBV-DNA定量PCR解析を施行し、各々の臨床病理像との解析を進めており、次年度も継続予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床情報の収集及びデータベース入力については、各病院の倫理委員会での承認等の手続きは終了し、臨床情報と病理像を併せて解析するためのデータベースプログラムを再構築し、調査票の回収が終了した例から集積を進めている。平成24年度実施計画であるB細胞リンパ腫におけるCD20及びCD22発現異常の解析に代わり、平成25-26年度実施予定であった成熟NK細胞腫瘍の解析を行った。具体的には節外性NK/T細胞リンパ腫の解析を進め、第74回日本血液学会学術集会にて報告した。免疫不全関連リンパ増殖性疾患及びEBV関連NK/T細胞リンパ腫についてはEBV-DNA定量PCR解析を進めており、次年度に臨床病理像との解析を行っていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
H24年度に引き続き臨床情報の収集及びデータベース入力を進めていく。H25年度は引き続き臨床情報の収集と再構築したプログラムへの入力を進めると共に、血液内科以外の消化器及び皮膚科分野におけるリンパ腫例の収集に着手し、中核病院を中心に進める予定である。 B細胞リンパ腫におけるCD20/CD22発現異常については、発現異常と染色体分析異常をパラフィン切片を用いた間核期FISH検査及び免疫染色を行う。代表的なMYC,BCL2及びBCL6遺伝子のみならず、近年doubule hit lymphomaにて初めて転座を報告されたBACH2遺伝子も併せて解析を進め、各種遺伝子異常と表面抗原の発現について明らかにする。 成熟NK細胞腫瘍の解析として、節外性NK/T細胞リンパ腫に対して例本年度は6q21遺伝子領域と免疫組織化学染色の検討を行う。免疫不全関連リンパ増殖性疾患及びEBV関連NK/T細胞リンパ腫のEBV-DNA定量PCR解析を継続し、臨床病理学的解析を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
臨床情報の収集に注力するために、各病院への人的資源及び旅費が必要である。成熟NK細胞腫瘍の解析として、免疫不全関連リンパ増殖性疾患及びEBV関連NK/T細胞リンパ腫例における末梢血単核球と血漿に分離した検体にてEBV-DNA定量PCR解析を継続する。節外性NK/T細胞リンパ腫に対しては、6q21遺伝子変異を中心にシークエンス解析を行い、免疫組織化学染色による蛋白発現との解析を行う。B細胞リンパ腫におけるCD20/CD22発現異常については、発現異常と各染色体分析をパラフィン切片を用いた間核期FISH検査及び免疫組織化学染色による蛋白発現を比較検討する。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
|