研究課題/領域番号 |
24590677
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
一迫 玲 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30184625)
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研究分担者 |
石澤 賢一 東北大学, 大学病院, 教授 (00359506)
福原 規子 東北大学, 大学病院, 助教 (10534167)
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キーワード | 悪性リンパ腫 |
研究概要 |
B細胞リンパ腫におけるCD20発現異常に関わる因子として、MYC癌遺伝子の関与が示唆されており、MYC転座陽性B細胞リンパ腫に着目した臨床病理学的解析を行った。B細胞性リンパ腫の代表的疾患である”びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)”を対象に臨床病理学的解析を行った。全94例をGCB群(germinal center B-cell)とnon-GCB群及びMYC転座陽性の3群に分けて解析を行った。MYC転座陽性例のサブグループ解析にて高率(79%)にBACH2陽性例を認められた。さらに、MYC転座陽性DLBCL群において、BACH2陰性群では陽性群に比して予後良好であることが明らかとなり、BACH2発現がMYC転座陽性DLBCLの病態に関与していることを報告した(Ichikawa et al. Cancer Science 2014)。 免疫不全関連リンパ増殖性疾患については、関節リウマチに関連したとされるMTX関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders;MTX-LPD)を集積し、臨床病理学的解析を行った。リツキシマブ療法がMTX-LPDのみならず原疾患の長期疾患コントロールに重要であることを国内外にて学会報告を行った。 悪性リンパ腫の臨床情報の調査表収集及びデータベースの入力は引き続き進めており、次年度も継続予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
B細胞リンパ腫におけるCD20発現異常に関わる因子としてMYC癌遺伝子に着目し、MYC陽性DLBCLにおけるBACH2発現の重要性を明らかにし、免疫不全関連リンパ増殖性疾患の臨床病理学的解析結果を報告した。臨床情報の収集は、血液内科では順調に収集しているものの、血液内科以外の消化器及び皮膚科分野への症例収集がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度に引き続き臨床情報の収集及びデータベース入力を進めていく。H26年度は引き続き臨床情報の収集と再構築したプログラムへの入力を進めると共に、血液内科以外の消化器及び皮膚科分野におけるリンパ腫の症例収集に着手し、中核病院を中心に進める予定である。MYC陽性DLBCLにおけるBACH2発現の機序として、遺伝子異常の観点から検討を進める。免疫不全関連リンパ増殖性疾患では関節リウマチを中心に解析を行ったが、基礎疾患として関節リウマチ以外の自己免疫疾患及び骨髄移植を含む臓器移植後の発症例についても解析を進める。成熟NK細胞腫瘍の臨床病理学的解析では、特に稀少疾患である腸管症関連T細胞リンパ腫の中でもアジア地域に多いとされるtypeIIを中心に、宮城県内での解析を基にして東北地区各施設と共同研究へと発展させることを計画中である。
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