我々は被災地環境がエコー所見に及ぼす影響を評価するため,津波被災地において深部静脈血栓症(DVT)検出を目的とした下肢静脈エコーと止血機能検査を実施した.期間中の被検者のDVT検出率は年毎に上昇した(発災後2-5年).ヒラメ静脈拡張所見はDVT検出とDVT持続の独立した危険因子であった.DVT持続群は消失群やDVT陰性群と比較してD-dimer値が有意に高値であった.被検者の脂質異常症有病率は年毎に増加し,最終年ではDVT陽性群でprothrombin activator inhibitor-1の有意な上昇を認めた.以上より環境がもたらす被災生活の変化はエコー所見に影響を及ぼした可能性がある.
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