研究課題
臨床検体での測定を想定して分解変性について尿サンプル、血液サンプル、リコンビナントチオレドキシン(TRX)を48時間37℃で加温したり、凍結融解を40回繰り返してTRXが検出感度以上に存在するかどうかを調べた。尿中TRXはWestern blotでスメアを引くことなく、シングルバンドとして検出され、長時間加温や凍結融解の処理をしなかった比較試料とほぼ同じ濃度で検出された。臨床検体においてTRXが酸化ストレスに関連している傍証として急性腎障害の患者の尿中TRXが正常人の尿中TRXに比べて酸化型TRXが増加していることをRedox Western Blot法にて観察した。新規の迅速レドックス診断法として、アルカリフォスファターゼ(ALP)標識抗TRX抗体とビオチン標識抗TRX抗体を用いたサンドイッチアッセイによって固相フィルター上にTRX抗原をトラップする新たな測定システムを開発した。ALPの基質である発光基質を固相フィルターに添加することによって得られる発光シグナルを光電子倍増管(PMT)を用いて検出し、予め得られた検量線と比較することによって、TRX量を算出することが出来た。これまで8時間かかっていた測定が迅速アッセイ法により15分程度で測定が出来た。尿中TRXを正常健康人、急性腎障害、顕微鏡的多発血管炎、メサンギウム増殖性腎炎、巣状糸球体硬化症、間質性腎炎、ループス腎炎、IgA腎症、膜性腎症、糖尿病性腎症の患者で測定したところ尿中TRXは急性腎障害で有意に上昇していた。尿中TRXを用いて急性腎障害と急性腎障害以外の腎疾患を鑑別する診断能力は、カットオフ値43.0 μg/gにてROC曲線下面積は0.94 (95%信頼区間0.90-0.98)、感度0.88、特異度0.88とNgal、KIM-1、L-FABPなどとほぼ同等に優れていることが分かった。
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