研究課題
基盤研究(C)
特定の核酸(DNA, RNA)を保有した細胞にその核酸に対する特異的蛍光付probe を導入し、蛍光シグナルを検出することで、細胞を分離し、その分子学的、細胞生物学的と特徴を明らかにしようとする。当初、細胞の材料は取扱いの容易さから、白血病培養細胞を使用した。PML-RARAが検出可能なNB4、BCR-ABLが検出可能なK562を対象細胞として使用した。まず固定後の細胞で、核酸の融合マーカーの検出されることと、その陽性率を検討した。其々、20細胞中18細胞、20細胞中20細胞にFluorescence in situ hybridyzation (FISH)で融合シグナルが検出された。次に、QUAL-FRET法をより高感度に検出でき、生細胞率も低下させない条件設定を行った。まずは、probeの細胞への条件設定として、使用するSLOを添加し、37℃にて細胞膜の穿孔処理を行った。処理時間を変化させ、膜の修復はRPMI/FCSにて、4℃にて行った。疑似probeとして、biotinを使用した。その後avidineを反応結合させ、flow cytometerにて検出した。蛍光色素としては、streptavidine RED670を使用した。SLOの反応時間が長くなることで、赤色蛍光量は増加し、模擬probeの導入率は、60%-73%程度となった。しかし、scatter gramにて、cell sizeに変化が認められ、形態上、膨化し、散乱光の増加が認められた。video-microscope上でも、細胞の変化が認められた。 SLOの反応時間として7分が適切で、これ以下で導入率の低下、これ以上で生細胞率の低下が認められた。
3: やや遅れている
分取細胞で細胞内への集積を観察し、胞体内が染色され、核が未染色であることを確認する。比較的高分子の蛍光probe が必要であり、5-10 分間のSLO の穿孔処理が適切であるが、染色の恒常性をはかるための条件設定を行う。扱った細胞は細胞株であり比較的均一化し、処理を行いやすい条件下である。この条件下で、導入率80%以上、生細胞率90%以上は必要と思われ、今少し、条件設定が必要であると思われる。
導入される色素probe の分子量の調整をする。非特異的に核内には集積しない胞体内のみに存在するprobe を設定する。癌細胞分離方法の確認(後述) gating とsorting による分離効率と生細胞率の向上をはかる。培養細胞では生細胞率90%以上、導入効率70%以上が得られている。しかし、マクロファージや単球など接着性のある細胞、リンパ球や増殖が顕著な培養細胞ではprobe の導入効率の悪い傾向があり、neuramidase やlow Ph 等を用いて技術的な安定性をはかる。Probe の導入効率から遺伝子陰性細胞群中にも真の陽性細胞が存在するが、偽陰性細胞を扱うことはなく、生存率の良い真の陽性細胞を分取することを目標にする。
生細胞率の向上と蛍光導入率向上のための条件設定を引き続き行う。条件設定がされたところで、ヒト末梢血細胞と特異的核酸発現を保有する白血病培養細胞を混合させ検討する。健常人または非造血器疾患を材料とし、本研究目的の使用を承諾された検体を使用する。赤血球の溶血操作が必要とされるが、補体やNaNH3 などの溶血作業の必要性も検討する。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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